[19日目]トルクメニスタンへと至る道


こんにちは、19 日目担当のt2ubasaです。
Cerevo に入ってそろそろ1年が経とうとしています。
長かったような短かったような不思議な感じです。

Cerevo では日本で製品の企画・設計を行い、中国をはじめとするアジアの工場で製品をつくり、世界中に売るというビジネスを展開しています。
そのため社員も中国、東南アジア、アメリカなどを中心にバンバン海外出張にでかけています。

初めは『英語できないし、、、』とか思っていても、一度実際に行ってみて意外とどうにかなるという経験をすると心のハードルがぐっと下がって、海外への抵抗がなくなってきます。

とはいえ全く知らない国にいきなり行くのはやっぱり不安を感じるもの。

そこでこれから世界の様々の国とその国にまつわる小ネタを少しずつ紹介していきます。
皆さんの見知らぬ国への不安を前向きな興味に変えることができたらなと思います。

それでは早速
初回は中央アジア トルクメニスタンです。

トルクメニスタン?

最近だと「乙嫁語り」を読んで中央アジアに興味を持っている方もいらっしゃるかと思います。
乙嫁語り 1巻<乙嫁語り> (ビームコミックス(ハルタ)) [Kindle版]
森薫
otoyome

とはいえ、中央アジアに興味はあってもトルクメニスタンと聞いてピンとくる方はあまりいないでしょう。
でも非常に個性的な国なんですよ?愛さずにはいられません。
ぜひこの機会に皆さんにもその魅力を知っていただければと思います。
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トルクメニスタンを知る上で欠かせないのがニヤゾフ元大統領です。
残念ながら同志ニヤゾフは 2006 年にお亡くなりになりましたが、どんな人だったかとりあえずWikipedia を見てみましょう。

サパルムラト・ニヤゾフ

熟読していただけましたでしょうか?
僕のお気に入りはメロンの日の制定です。
“この神の賜物は、輝かしい歴史を持っている。美味しいメロンの名前を称えて、国民の祝日にする”
なんて詩的な表現なんでしょうか。

ニヤゾフ元大統領による独裁と天然資源のもたらす富はトルクメニスタンを世界でも稀に見る奇特な国へと変貌させ、今でもやっぱりヘンテコです。
首都のアシカバードには本当に黄金のニヤゾフ像がたくさんありますし(しかも、本を読んでいたり片手をあげていたりと無駄にバリエーションがある)、大統領府は漫画に出てくるあり得ないお金持ちのあり得ない豪邸みたいになっています。
president

今回はこの魅力あふれるトルクメニスタンに入国する方法およびトルクメニスタンでも人気の高い観光スポット “地獄の門”への行き方をご紹介します。

VISAを手に入れろ!

さて、トルクメニスタンに入国するためにはビザが必要となります。
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しかしこのビザ取得が問題です。
トルクメニスタン政府は観光ビザの発行に滞在期間中、現地旅行会社のガイド等が同行することを条件としているため、観光ビザでは国内を自由に動き回ることができません。

そんなのはつまらないですよね?旅は自分で好きなように行動できるべきです。

・観光ビザではなく通過ビザ(Transit visa) の取得する。

通過ビザは、最終目的地までの途中にある国が経由のための入国を許可する目的で発行するビザです。
例えばウズベキスタンからイランへの移動する際にはトルクメニスタン領内を通る必要がありますので、その予定を伝え通過ビザをトルクメニスタン大使館に申請すれば、通過ビザが発行される場合があります。
観光ではなく通過が前提になっているので期間は短めです(通常3-5日程度)。
しかし通過ビザならガイドの同行は条件とされないので、許可された日数の範囲で自由に行動できます。

なお、日本人が通過ビザの取得するためにはトルクメニスタンの前に行く国とトルクメニスタンの後に国のビザを取得している必要があります。

・ 在タジキスタン トルクメニスタン大使館はよかった

ビザを申請するとはいいましたが、在日トルクメニスタン大使館は査証業務を行っていません。そのため、第三国での申請が必要になります。
中央アジアの中心的存在で観光客も比較的多いウズベキスタンで申請する人が多いかと思いますが、申請者の数が多く、またウズベキスタンのトルクメニスタン大使館は対応が悪いことで有名です。

一方でタジキスタン大使館では直接国境を接していないためかほとんど申請者がおらずスムーズに申請でき、また大使館員の対応も丁寧でした。
日程と相談して、トルクメニスタンに入国するためのビザをどの国で申請するかの見極めも重要です。

・申請には何が必要?

申請に必要なものは各大使館で異なります。
事前に十分に調べておく必要があります。
情報源としては大使館のWeb ページ ,lonely planet(世界的に有名なガイドブック) 、旅行者のブログ、バックパッカーが集まる宿にある情報ノートなどをみると良いでしょう。

大使館で申請するタイプのビザの場合、主に必要となるのはパスポート、申請書類(大使館にある場合もあるが事前に自分で印刷・記入する場合もある)、顔写真(サイズは要確認)です。
また上記の 3 点に加えて大使へのレター、宿泊先の予約証明、日程表、大使館員との面接などが要求される場合もあります。

在タジキスタン トルクメニスタン大使館での申請の場合には、パスポート、申請書類(大使館で入手可能)、顔写真、レターが必要でした。
レターというのは要するに『大使閣下様、ビザください。審査お願いします』という文面のお手紙です。英語で書く必要がありますが、大使館に例文が書いてあるのでそのまま書き写せばOKです。

申請に不備さえなければ、通過ビザの発給を拒否されることはまずないでしょう。
むしろ問題は何日間のビザがおりるかです。
在タジキスタン トルクメニスタン大使館では通過ビザでは3-5日間が普通で最長でも7日との説明を受け、結果的に僕には3日間のビザがおりました。

後から聞いた話では申請書の移動手段の欄に “bicycle”と書いておくと5 日間のビザがおりやすいらしいです。日数の決定は大使館側の判断によるので確実ではないですが。
ちなみに僕は”car and train” と書きました。
どうしても5日間のビザが欲しい場合には移動手段を自転車で申告してみるのもありかもしれません。

国境を越えろ!

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僕の場合、ウズベキスタンのヒバという街からバス(バス乗り場は宿の人に聞けば教えてくれる)でウズベキスタン/トルクメニスタン国境へ行き、国境を越えました。

ビザがあっても無事ウズベキスタンを出国できなければ意味がありません。
出国できない事態は稀かもしれませんが、場合よっては所持品の没収が行われたり、出国審査に時間がかかったりします。

まず気を付けたいのが税関申告です。
ウズベキスタンは入国時に税関申告を義務付けられています。
この税関申告では所持している現金、貴重品を記入するのですが、出国時の現金や所持品が入国時に申請したものより増えていると厄介です。

どうも富の国外流出に敏感で規制がかかっているようで、入国時 < 出国時だと富の国外流出として警戒されます。
勿論ウズベキスタンにも ATM があり、現地通貨やドルをおろすことは可能なので現金が増えることは十分あり得ます。そういう時はATM利用時の明細を捨てずにおき何処でいくらおろしたのか説明できると無用なトラブルを避けられるかと思います。
入国時に現金を過少に申告するのは危険ですのでやめましょう。最悪出国時に没収される可能性があります。

次に注意が必要なのが滞在登録制度です。
ウズベキスタンでは72時間以上の滞在の場合、滞在登録を行う必要があります。旅行者の場合にはホテルがこの手続きを代行し、証明書を発行してくれます。
夜行バスや夜行電車などに乗った場合には切符あれば大丈夫です。
この証明書をなくしたり、証明書を発行できない場所(野宿や個人宅など) に宿泊したために、滞在期間すべてを証明書がカバーできていないと厄介なことになります。
確か罰金か何かになったと記憶しています。
ただ、何等かの理由で証明書が欠けた場合でも宿の人に相談すると、日付をごまかして証明書を発行してくれますので、あきらめずに相談してみてください。

[実際の証明書]
register

またウズベキスタンでは軍事施設などをはじめ写真撮影が制限されているものがあり、国境を超える際これらの写真がないか PC やカメラを厳重にチェックされる場合があります。大量に画像が保存してある外付けHDDなどを発見された場合には検査に時間をとられるかもしれません。
事前に何等かの対策を講じておくとよいかと思います。
僕の場合、PCを見せろと言われた時には事前に用意しておいた使っていないサブアカウントでログインし、何もないよ?と振る舞い、外付けHDD はバッテリだと言って乗り切りました。

ウズベキスタン側のイミグレーションを超えたらトルクメニスタンの入国審査です。
僕の場合、こちらは税関申告をして、入国目的などの基本的な質問をされた後、入国料 12ドルを支払ったらすぐに入国できました。
業務終了ぎりぎりだったので職員の皆さんもさっさと終わらせたかったのかもしれません。
もしかすると、国境は時間ぎりぎりに超えるといいのかもしれませんね。

いざ地獄の門へ

・地獄の門とは

世界中のバックパッカーがトルクメニスタンに行く理由はおそらく”地獄の門”をみたいからでしょう。
地獄の門
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40年以上も消えることなく燃え続けているなんて何ともロマンがありますね。

・ダルヴァザへの行き方

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地獄の門はカラクム砂漠のど真ん中にあるダルヴァザという土地にあります。
なのでダルヴァサを目指しましょう。

国境からダルヴァサまで行く方法は基本的にはシェアタクシーを利用する以外に選択肢がありません。
知らない人とタクシーに乗るのは怖いと考える人もいらっしゃるかと思いますが、僕個人の経験では危険を感じたことはありません。
むしろ他の乗客がいくら払っているか確認できるのでボられるリスクも低いですし、運転手が信用できない以上2人きりになるほうが危険な気がします。

トルクメニスタン側のイミグレーションを出た先には必ずタクシーが待っていると思いますので、回りをよく見てタクシー使いそうな人に目星をつけておくといいでしょう。

ウズベキスタンのヒバから国境を越えた場合、まずシェアタクシーでタシャウスという街に行くことになり、そこでまた別のシェアタクシーに乗り換えてダルヴァサに行くという形になるかもしれません。

ダルヴァサは外国人には観光地としてそれなりに有名ですが、現地の人にとってはただの砂漠です。そのため、シェアタクシーの最終目的地がダルヴァサということはまずないです。
ただ、ダルヴァサはウズベキスタン国境付近と首都アシカバードを結ぶ約600km の幹線道路のちょうど中間にあるため、言わばサービスエリアのような働きをしています(といっても、道路の脇に数件のチャイハナというお茶屋さんと遊牧民っぽい大きなテントがあるだけの寂しいところです)。
シェアタクシーに乗り込んだ時点で『ダルヴァサ!ダルヴァサ!』と言っておけば『ああ、こいつはダルヴァザで降りるんだな』と察してもらえるでしょう。

ちなみに僕が利用したときのシェアタクシーのお値段は
国境 -> タシャウス 1 USD
タシャウス -> ダルヴァサ 15 USD
でした。300Km 近く移動していることを考えると安いですよね。

乗り込んだシェアタクシーはダルヴァサにつくと、数件あるチャイハナのどれかに止まるはずです。もし皆さんが夜についたのならそのチャイハナから東側を眺めてみましょう。
彼方に光が見えるはずです。
地獄の門は道路から 10km弱ぐらいは離れていますがその光は道路からも見ることができるのです。

・日中?夜?

さて、地獄の門に行く前に考えないといけないことがあります。
それは地獄の門へ日中にいくか、夜に行くかということです。
チャイハナから地獄の門までは正確な距離はわかりませんが直線距離でも 8-10km程度離れています。また道中は砂漠で、特に夜間は人の気配がないため、危険もあります。

それでも僕はできれば夜に行くことをお勧めします。
僕の場合ダルヴァサについた時には 午後 11時を回っていて選択肢がなかったのですが、地獄の門を目指して星で方角を見ながら月明かりに照らされた砂漠を一人歩いたことは生涯忘れることはないでしょう。

・地獄の門への行き方

さてチャイハナから地獄の門までどうやっていくか?ですが、夜に出るなら簡単です。
東に見える光を目指してそのまま進んでいけばいいのです。
お昼の場合は…..わかりません。ごめんなさい。

荷物はチャイハナに置いていくこともできるので大きな荷物は置いていき、貴重品と水、それに道中は暗いのでヘッドライト、方角を知るためのコンパスなどをもっていくといいかと思います。

道中、気を付けておきたいのは自分がどの方向に進んでいるのかということです。
上記のように地獄の門への往路は光をただ目指せば良いのですが、復路が困ります。
自分が拠点にしたチャイハナがどこにあるのか正確に知る手段がないからです。
往路では自分が真東よりやや北の方向に進んでいるのか、それとも真東よりやや南に進んでいるのかをしっかり把握しておきましょう。
自分が真東より北に進んでいるということがわかっていれば、帰るときは真西に進んで幹線道路に出たらその後南にいけばチャイハナが見つかるはず、という計算ができるはずです。

ちなみに僕はその計算をしなかったのでチャイハナが見つからず散々でした。

帰ろう。帰れば、また来られるから

夜が明けたら次の場所に向かいましょう。
ダルヴァサから次の目的地への足はやはりシェアタクシーです。
同じチャイハナで朝ごはんを食べながら回りの人たちに話かけ、どこにいくのか聞きましょう。
空きがあれば乗せてもらえるかもしれません。

運悪く目的地に行く人たちがいなかったり、既に満員な場合でも大丈夫です。
道路にたってヒッチハイクをすればいいだけです。
ヒッチハイクなんかしたことない、という方も多いかと思いますがやってみると意外とどうにかなります。
僕の場合、ヒッチハイク開始から10分もしない内にトラックが止まってくれて、無事次の目的地アシカバードに連れて行ってもらえました。
チャレンジしてみるものですね。

次回予告

というわけで今回はトルクメニスタンと地獄の門の紹介でした。
次回の予定はまったく決まっておりませんが、何か思いついたらまた書かせていただきます。
それではまた。

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