電気エンジニアのちはです。
今回はダイソーで売ってる300円のUSBスピーカーを、USB接続だけで鳴るように改造していきます。
目次
【前段】300円の”USBスピーカー”を購入
300円のUSBスピーカーを改造しようとしたきっかけは「これ、値段の割に結構良い音がするよ」と噂を耳にしたことです。
試しにググってみると、YouTubeの紹介動画や、基板の解析や音質改善のブログ記事がたくさんヒットします。
USB接続で音が鳴って、300円で、しかも音がいいらしい。これは面白そうですね。
秋葉原のCerevoオフィスからほど近い多慶屋のダイソーに行くと何個かあったので早速買ってみました。
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【現状】USBを接続しても音が鳴らない?
さっそく開封してUSBケーブルをPCに挿してみます。
プツッとした音(ポップノイズ)がします。通電したようです。
Spotifyを起動して適当な音楽を再生してみ……あれ?
ボリューム回しても音がしない。なんで?
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…!!
オーディオジャック、お前だったのか。音を鳴らすのは。
PCに挿したらきちんと音がなりました。割といい音です。
USBケーブル1つだけで電源供給と音声出力ができるはずという思い込みはいけませんね。
しかしケーブル2本挿さないと鳴らないのかあ。
USB1本で鳴ったらスッキリして楽だよな……
【調査】スピーカーを分解
というわけで、開封してから3分も鳴らしていませんが、スピーカーをバラしてみます。
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上図で右下に写っているオーディオジャックとUSBケーブルは、内蔵のアンプ基板に写真のように接続されていました。
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「LTK8002D」は3W級のモノラル・オーディオパワーアンプです。
2つ使うことでステレオ音声を増幅しています。3Wもあれば卓上スピーカーなら十分に鳴らせます。
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【設計】USB DACを用意する
さて、ここからはUSB接続だけでスピーカーに電源供給と音声出力ができるように改造していきます。
以下の画像はUSB端子のイラストです。左から4と1が電源のマイナスとプラスで、3と2が通信を行う信号線になります。
https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=3353998
電源供給はUSBのバスパワーを利用しますが、音声はUSBからのデジタル信号をアナログ信号に変換してやる必要があります。
これを実現するには USB DAC のICを使ってアンプ基板に音声を入力をすればOKです。
DACとはデジタル・アナログ・コンバータ、つまりデジタル信号をアナログ信号に変換して出力してくれるICのことです。
そういえば前にCerevoのオフィスでそんなIC拾った気がするぞ……
※広報注:電子パーツが床に落ちているわけではありません。が、社内に余裕がある電子パーツ等はCerevoメンバーの研究のためには自由に活用できます。
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袖机から出てきたのは 台湾 C-media社 CM118B。ビンゴ!
まさに求めていたUSBオーディオチップです。しかも外部クリスタル不要。
鳴らすだけならもっと安価な同社のCM102系やHS-100B等でも十分ですが、今回はコストや入手性を考えなくてよいので、このままこれを使います。
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このICはLQFP48というパッケージです。
銀色のピンの間隔は0.5mm、シャープペンの芯1本分です。
パッケージ全体の大きさは7x7mm。切手の1/4ほどのサイズです。
さすがにそのままでは扱いづらいので、変換基板にはんだ付けして使います。
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データシートをよく読んで接続し、オシロで音声波形が出力されることを確認しました。
負荷的に本来NGですが、試しにスピーカー直つなぎで聞いてみます(好奇心)
うまだっち成功。やったぜ。
【実装】USB接続だけでスピーカーを鳴らす
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音声出力を確認したので、アンプ基板に接続し、音声を鳴らしてみます。
音源のPCから回路へ繋ぐのはUSBケーブル1本のみです。
しっかり鳴りました。いぇい ✌
きちんと計測したわけではありませんが、DACとアンプ基板の出力をそれぞれ最大にしても、およそ500mA以内には収まりそうです。
そもそも最大音量で鳴らすとかなりの爆音でしたので、あまり心配する必要はなさそうです。
【次回】基板化して筐体に収める
これでひとまずUSBケーブル1本で鳴らすという目的を達成しました。
せっかくなので、小さく基板化してスピーカー内に収まるようにしてみようと思います。さてどうするか……
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上図で筐体下部にある、この楕円の穴は元々2本のケーブルが飛び出していたところだったのですが……
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!!
もしかしてレセプタクルぴったり入るんじゃ……
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!!!
いくらなんでもジャストフィットすぎて草生えますわ(USBお嬢様)
次回、USB Type-C端子でスピーカーに収まるDAC基板を設計してみようと思います。
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