スマホで操作する改造ミニ四駆製作キット「MKZ4」がおかげさまで好調な売れ行きです。電気設計担当の押切です。みなさんありがとうございます。
DMM.make AKIBAでも毎月定期的にワークショップを開催していただいていますし、学校関係からの引き合いもいただいてます。協業している秋月電子さんの店頭に並んでいるのも、普段から店舗を利用している一個人として嬉しいものがあります。
そうして皆さんにMKZ4を使った改造にチャレンジしていただくなかで、Wi-Fiモジュール「ESP8266」のはんだ付けが他に比べて難しいという声も聞きます。
身近に指導してくださる方がいれば不可能なレベルではないかと思いますが(実際ワークショップでは小学生でもこなしているので)、そうでない場合は表面実装部品で18ピンあるので、他の挿入部品に比べ難易度は高いです。
そこで、いわゆる積み基板にならないように、動画ではんだ付け解説と最後の手段の実装済み小基板を使う方法を解説します。
1.正攻法でトライ!
まずは正攻法ではんだ付けから
Kindleストアで販売中の「徹底解説!MKZ4ガイドブック」にも手順については詳しく書いていますが、実際のはんだ付けの様子を動画で見て下さい。はんだ付けをする際に使う道具も重要です。
部品の入手先のリンクも参考に用意しました。
・糸はんだ
はんだ付けにあまり慣れていない方は鉛入りがあつかいやすいです。0.6mm程度の細めの物がおすすめです。
ただし特に鉛入りは直接煙を吸い込むのは有害なので換気にはより注意しましょう。
高性能ヤニ入りハンダ 0.65mm 100g
http://akizukidenshi.com/catalog/g/gT-09529/
・ハンダコテ
ニクロム線タイプでなく、セラミックヒータタイプ、できればステーションタイプで温度調節可能なものが望ましいです。コテ先の温度を一定に保つことが付けやすさに直結します。
温調はんだこて PX-201(70W)
http://akizukidenshi.com/catalog/g/gT-02535/
・フラックス
基板の実装パッドに塗って使います。ハケタイプが使い勝手がよいです。
はんだ濡れが良くなり、難易度が下がります。
H-722 フラックス
http://www.sengoku.co.jp/mod/sgk_cart/detail.php?code=6AH6-D6KT
・マスキングテープ
モジュールと基板を仮固定するのに使います。
正確な位置に固定することがはんだ付け成功の8割を決めます。
100均や雑貨店などでおこのみので構いません。
87033 マスキングテープ 6mm
http://www.sengoku.co.jp/mod/sgk_cart/detail.php?code=6ABP-67K5
少し横道に逸れますが、実務用に光学拡大顕微鏡の代わりにデジタルカメラとHDMI出力付きの拡大鏡を導入したので、その機器を使って動画を撮影しました。中国のAliexpressから、送料込みで約2万円で仕入れたものです。
andonstar ADSM201
Aliexpressのlink
(記事執筆時のものなのでlink切れの場合もあります)
11/11からはさらに年に一度のセールで割引が行われるので気になる方はチェックしてみてください。
ただのデジタル拡大鏡だと対象物に寄らないとピントが合わないのですがこれはワーキングディスタンスが取れ、はんだゴテを入れてもピントが合いHDMIモニタを見ながら作業ができます。もっと細かい部品で威力を発揮するのでおすすめです。(HDMI出力時に静止画の撮影はできますが、動画撮影は本体LCD表示のみのようです)
これを使うことで、このはんだ付け動画もFullHDで簡単に撮ることができました。
2.小基板で何とかする
下の写真の状態まではできるけど、上の動画を見てもどうしてもWi-Fiモジュールのはんだ付けができる気がしない!
と言う方は秋月電子などで扱っている実装済みの小基板を使う手段もあります。
・秋月電子
Wi-Fiモジュール ESP-WROOM-02 DIP化キット
http://akizukidenshi.com/catalog/g/gK-09758/
ESP-WROOM-02実装済みの子基板です。
基板単体だけも売っているので間違えないよう注意してください。
これを強引にワイヤーでMKZ4で接続すれば、見た目は悪いですが何とか動作させることができます。
・ワイヤー
耐熱電子ワイヤー 2m×7色 外径1.22mm(UL3265 AWG24)
http://akizukidenshi.com/catalog/g/gP-06756/
UL1429-28 L-2×10 耐熱電子ワイヤー
http://www.sengoku.co.jp/mod/sgk_cart/detail.php?code=65H6-53MP
2種類書いたのは太さが違うためです。AWGの番号が大きいほど細くなります。
電源GNDは太い方が性能として望ましいのでAWG24を使いますが、太いとコシが強く子基板の取り回しがよくないので信号線はAGW28を選択するという使い分けをします。また、耐熱タイプでないと被覆が熱でぼろぼろになるので耐熱タイプがおすすめです。
・ワイヤーストリッパー
精密ワイヤーストリッパー YS-2
http://akizukidenshi.com/catalog/g/gT-06873/
ワイヤーをはんだ付けするために被覆を剥いて、中の芯線をむき出しにする必要があります。
本数が多いと大変ですし、力加減を間違うと芯線ごとカットしてしまうのでワイヤーストリッパーを1台持っておくとよいでしょう。刃先にAWGの番号が刻印されているのでワイヤーと対応させた穴にセットして使うとそれぞれの太さのワイヤーの皮膜だけを簡単に剥くことができます。
図のように13本の線を引き出して、小基板のスルーホールとMKZ4基板上の抵抗、コンデンサ、コネクタのパッドにはんだ付けします。3.3VとGNDは電源を安定化させるため太めの線が良いです。その他の信号線も本数が多いので色分けすると良いと思います。
実際にはんだ付けしたところ
裏面小基板化したことでWi-Fiの干渉に弱くなるので、写真のようになるべくモータから話た位置に小基板を設置します。
ボディをつけると尻尾のように出ますが、ご愛嬌です。
ご自身のレベルに合わせてトライして見て下さい!
著者プロフィール
- 2015年にCerevoへジョイン。電気エンジニアを経て、現在は執行役員