LiveShell Wでの電源冗長化と、停電時の電源バックアップ方法の具体的な組み合わせ事例


こんにちは、押切です。
今回はCerevoのライブ配信機器「LiveShell W」の2系統を活かして、停電時もバッテリーで配信を継続する具体的な方法について検証と事例をご紹介します。

LiveShell Wの電源冗長化について

LiveShell Wは電源が2系統あって、電源冗長化されています。

電源冗長化とは、別系統の電源があることを意味していて、電源冗長化を行うことで万一の電源故障の際でも、冗長化した電源が起動することで通信断を防げます 。

LiveShell W給電の仕様

LiveShell Wには給電用USB Type-Cが2端子(Main/Sub)があり、Mainに繋いだ方を優先的に使用します。別系統で、条件を満たした電源をそれぞれ供給しておけば、片側が故障や停電等で供給ストップしても、電源が落ちることなく自動でもう一方に切り替わること(ホットスワップ)が可能です。

例えば、Main側のACアダプタが停電でOFFになっていても、Sub側のバッテリーが生きていれば、そのまま配信可能となります。

ただし、それぞれの電源はUSB Type-Cで5V/3A供給できること。 USB Power Delivery 規格に準拠している こと。十分応答性が速いこと、USB Type-Cケーブルでの電圧降下が低いこと※1を満たす必要があります。事前に十分テストしてから本番の配信に臨んで下さい。

※1:2m以上の長いケーブルだと通常使用は可能でも、ホットスワップ時に切り替え失敗する場合があります

電源冗長化の接続例

スタジオなどで、すでに給電系統が冗長化されている場合には、上図のように接続することができます。こうすることで、停電時だけではなくUPSやACアダプタなど給電装置の故障も、単一障害点とならない信頼性の高い給電が可能となります。

ただ既に2系統電源があればいいのですが、新たにONUやルータを含め完全に電源2系統を用意するのはハードルも高いので、 今回の記事では「もしもの停電」の備えにフォーカスし手軽なバックアップ給電の組み合わせをご紹介します。

停電対策の給電の組み合わせについて

パターン1:ポータブル電源を使って、本体と回線を生かす

ポータブル電源のACにONUとルータ、USB Type-CにLiveShell WのSubを接続することで回線とLiveShell Wの電源を確保できます。

さらにポータブル電源がパススルータイプ(ACアダプタで充電と同時に給電も可能)だと停電にならなければ、バッテリ容量も減らないので便利です。

Anker: 521 Portable Power Station
CTECHi:GT300

パターン2:HDMIモニタ付きポータブル電源

Cerevoでも扱っているHDMIモニタ付きポータブル電源「PSTV-600」にはモニタが付いているのでPGM OUTを表示しながらONUとルータ、USB Type-CにLiveShell WのMainを接続することで、回線とLiveShell Wの電源を確保可能です。

MainにACアダプタを繋げばホットスワップできます。

パターン3:Vマウントバッテリーを流用

業務用カメラやモニタなどでVマウントバッテリーを既に使われている方は、IDXのP-Vmicroなどを使うことでUSB Type-Cに変換できるので、LiveShell WのSubに利用することができます。回線を生かす場合、無線LANでバッテリー内蔵のモバイルルータを使うことも出来ます。

なお、Vマウントバッテリーの中にはUSB Type-C端子があるものもありましたが、通電するものの応答性が悪いようでホットスワップできませんでしたので、変換アダプタを使った方が確実です。


P-Vmicro

VマウントバッテリーのD-TapからUSB Type-C変換ケーブルとかが、安価であると便利だと思うので、LiveShell Wのオプションで用意できないか検討中です。

モバイルバッテリの利用について

Sub利用時、パワーセーブモードに要注意

Sub給電元としてモバイルバッテリが一番安価で手軽ですが、モバイルバッテリの使用は基本的には、Main給電元としての利用を推奨しています。

理由はモバイルバッテリは無負荷の状態が続くと、パワーセーブモードになり電源供給がストップするものが多いからです。パワーセーブまでの数分程度は供給されるのでSubで利用する場合は十分事前に確認してから運用下さい。

屋外での利用などMainでの利用には最適

停電でなく明示的にMain/Subの電源を切り替えるなら、Sub側のモバイルバッテリの電源を入れ直すことで利用できます。またモバイルバッテリのUSBケーブルを挿した直後であれば、給電されているのでホットスワップ可能です。

屋外でMain/Subともにモバイルバッテリを2台使って長時間配信していただくことも可能です。使用する場合は、上記のようにパワーセーブに入らないよう注意が必要です。

ホットスワップ用おすすめSub電源

Mainには同梱のACアダプタを繋いだ状態で、Sub側に繋いでホットスワップ可能だった各種デバイス一覧をご紹介します。

なお、ここで紹介するものは全てのロットや個体、環境下での動作を保証するものではありません。バッテリ残量や温度などの環境や、使用状況、バッテリ側の仕様変更によって結果が異なる場合がありますので、配信前にお手元で事前に十分確認をお願いします。

装置 Sub AC電源数パススルー HDMIモニタ
ポータブル電源 Anker:521 Portable Power Station 2あり なし
ポータブル電源 CTECHi:GT300 2 あり なし
ポータブル電源 Wizz Power Station TV
PSTV-600
2なしあり
Vマウントバッテリーアダプタ IDX: P-Vmicro 0 なし なし
モバイルバッテリAnker: PowerCore 10000 PD Redux 25W 0 なし なし
モバイルバッテリ AUKEY: PB-Y36 0 なし なし

ちなみに、このモバイルバッテリ2種はLiveShell W専用の発売したばかりのバッテリーケースにも入る大きさです。

ライブ配信機器「LiveShell W」販売中

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