[2日目] 現地在住者がお伝えするベトナム語についての秘密


本記事は、Cerevoスタッフが業務や趣味について思うままに書き綴るアドベントカレンダー企画「Cerevo アドベントカレンダーTechBlog 2018」の第2日目です。

Cerevo アドベントカレンダーTechBlog 2018
http://tech-blog.cerevo.com/archives/category/adventcalendar/2018/

シンチャオ!ベトナム在住、海外営業の金谷です。
Cerevoは、現在世界80カ国以上のお客様に製品をお届けしております。グローバルに、より多くのお客様に利用していただきたいという考えのもと、私は2017年からベトナムで営業活動を始めました。ライブ配信機器 LiveShell シリーズはベトナムのお客様にも好評をいただき、宗教施設やイベント会場などで利用されています。

ベトナムの教会で利用されています。

ところで、皆さんの日常生活でベトナム人と接する機会が増加傾向にあることはご存知でしょうか?
日本に在住する外国人の中で、ベトナム人人口は3番目に多く、前年と比較すると31.2%増と、急速に増加しています。

 1 中国    730,890人 (  +5.1%)
 2 韓国    450,663人 (  -0.5%)
 3 ベトナム  262,405人 (+31.2%)
 4 フィリピン 260,553人 (  +6.9%)
 5 ブラジル   191,362人  (  +5.8%)

法務省入国管理局より引用(2017年確定値)
http://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/nyuukokukanri04_00073.html

今回は、のちに皆さんの生活により関わりが深まる可能性のあるベトナムについて、言語の観点から理解を深めていくのはどうでしょうか?
私が1年半ホーチミンに住み、ベトナム語学校に通って得た体験の中からお話します。

実は、ベトナム語は日本語に似ています!

ここでは二つの類似点を紹介します。

  • 文末詞「ね 」と文末詞「nha」「nhé」

Cảm ơn nha. (カモン ニャ)
ありがとうね。
Anh đi chơi vui vẻ nhé! (アン ディ チョイ ブイ ベー ニェ)
楽しんでいってね!

日本語と似ていますね!しかも「ニャ」が可愛い!
基本的には似た使い方です。ただし、異なる使い方があるため、注意が必要な場面もあります。ベトナム語「nha」「nhé」は、自分の提案について相手の同意を求める意味合いになる場合があるからです。

Chúng ta đi uống cà phê nhé.(チュンタ ディ ウン カフェ ニェ)
コーヒーを飲みに行きません

ベトナム人が日本語を話す時、正しく「コーヒーを飲みに行きません。」と誘うべきところを、間違えて「コーヒーを飲みにいきましょう。」と誘ってしまう可能性があります。日本人ならば、同じことを思っている場合に「〜しましょうね」を使いますので、上の間違いですと「あれ?そんな約束してないなあ…」と戸惑うかもしれません。この言語的背景を知っていれば、提案されていると簡単に察することができます。

それにしても、ホーチミンの街で「ニャー」と話し声が聞こえてくるので、猫みたいで可愛いなあ。。。 と癒されます。たまに、マッチョな人も「ニャー」を使うので、ニヤニヤしてしまいます。ちなみに「早く」という意味の「ニャン (=nhanh)」という単語もあります。使いたいけど、まだ使えていません。

 

  • 日本語とベトナム語で同じ意味・似た発音の単語がたくさんある

実はベトナム語の7割が漢越語と呼ばれ、中国からきた言葉です。残りの2割がベトナム独自語、1割がフランスから影響を受けた外来語です。どれくらい日本語とベトナム語が似ているのか、下の例を見てみましょう。

日本語 ベトナム語 中国語(北京)

管理 (カンリ)

Qun lý (クワンリー)

guǎn lǐ (グアンリー)

注意 (チュウイ)

Chú ý (チューイー)

zhù yì (ゾーイー)

歌手 (カシュ)

Ca sĩ (カーシー)

gē shǒu (ゲショウ)

結婚 (ケッコン)

Kết hôn (ケッホン)

jié hūn (ジエフン)

離婚 (リコン)

Ly hôn (リーホン)

lí hūn (リーフン)

意見 (イケン)

Ý kiến (イーキイン)

yì jiàn (イージアン)

厳格 (ゲンカク)

Nghiêm khc (ギムカック)

yán gé (ヤンゲー)

日記 (ニッキ)

Nht ký (ニャッキー)

rì jì (イージー)

日本語ととっても読み方が似ていることが分かります!そして次に、ベトナム語・中国語(北京)を比較してみてください。面白いことに、そんなに似ていないことが分かります!ルーツがあるはずの中国語(北京)よりも、日本語とベトナム語の発音の方が、似ているのです。
大昔に中国語が各地に広まっていく時、同じ時期に日本とベトナムに広まっていったことが理由と言われています。時間と共に中国では発音が進化していきましたが、日本やベトナムでは、古い発音がそのまま残り、独自に進化していきました。なので、ベトナムは日本と言語の部分で歴史を共有していると言えます。

中国との国境に最も近い観光地 サパ

ここまで日本語と似ている部分を紹介しました。ぐっと身近に感じていただけましたでしょうか?

 

似ている部分があれば、もちろん異なる部分も存在します。

それは、発音です。ここでは、三つの異なる点を紹介します。

  • ベトナム語の発音

ベトナム語には声調が6個、単母音が12個あります。下の表を見て比較します。声調・単母音ともに、中国語と比べてもベトナム語は種類が多いことが分かります。

 声調数  単母音数 単母音表記
ベトナム語  6  12  a â ă i y u ư e ê o ô ơ
中国語(北京)  4  7  a o e i u ü er
日本語  0  5  a i u e o


習いたてのベトナム語を使ってネイティブと会話しようと意気揚々と話しかけたら、なんと発音矯正が始まってしまった…悔 という笑い話を良く聞きます。日本人は、こう思うかもしれません。「多少の発音違いなら文脈から推測できるでしょう…なんで発音ばかり気にするのか…」これは、誤解だと分かりました。

日本語を多少の発音違いと共に話されたとしても、単母音の場合「a i u e o」の 5個のどれかに当てはめられる為、推測が比較的簡単です。ですが、ベトナム語の場合は、単母音が「a â ă i y u ư e ê o ô ơ 」の12個ありますから、「ア」っぽい発音の時に「a â ă」のどれか、「オ」っぽい発音の時に「o ô ơ 」のどれかで推測しなければならないため、単語の選択肢が増えるあまり、難しいのだと思います。ありがたく発音矯正を受けるのが良さそうです。。。

 

  • ベトナム人にとって日本語の発音で難しい部分

ベトナム人は、下のような発音になる傾向があります。

「おつかれさまでした」→ 「おちゅかれさまでした」

可愛いですね。マッチョな人が「おちゅかれさまでした」と言ってくる時は、ニヤニヤしてしまいます。ベトナム語には「つ(tsu)」の発音がありません。その代わり、ちゅ音 (Trường チュン=学校)  (Chúng tôi チュン トイ=私たち) はよく使われます。この一番似ている発音が適用されてしまいます。ベトナム語だけではなく、多くの言語で「つ」の発音は存在しないことは有名なので、特別驚かないかもしれません。では、もっと日本人にとって驚くべきことを次に紹介します。

 

  • 日本語なまり英語とベトナム語なまり英語は、お互いに伝わりにくい正反対の音の癖を持っている。

日本語なまり英語は下のようになります。

「Facebook」→「フェイスブック」
「passport」→「パスポート」
「Masteri」→「マステリ」*場所名です

子音+母音を一つ一つ発音します。

 

ベトナム語なまり英語は日本人にとって下のように聞こえます。

「Facebook」→ 「フェイブッ」
「passport」→「パッポー」
「Masteri」→「マッテリ」

脱落している「ce」「k」「s」「t」はネイティブ英語的には、無声音=声帯は震えず舌・喉を使って発音します。ただし、わずかに息を出す=有気音です。ベトナム語なまり英語では、「ce」「k」「s」「t」は声帯も震えませんし、息もでない傾向があります。

この背景にあるのが、ベトナム語にある、末子音 -c, -p, -ch, -t の発音です。

末子音
-c : 「học」
-p: 「lớp」
-ch: 「thích」
-t: 「tốt」

末子音は閉鎖音を使うので、声帯も震えませんし、息も出ません。閉鎖音の出し方ですが、パスポートと日本語で言ってみてください。最後の「ト」を言おうとして、舌先が前歯の後ろについた所で止めて息をださないでください。それが末子音-tの発音です。「học」は「ホッ」、「lớp」は「ロッ」、「thích」は「ティッ」、「tốt」は「トッ」のように日本人には聞こえます。ですが、ベトナム人は、ちゃんと舌・喉・口の形を作って発音しています。

上記が「passport」が「パッポー」と聞こえる背景です。ちなみに中間の「ス」を抜かしてしまう理由は、ベトナム語で中間に「s」「ce」が入る単語がほぼないためや、英語ネイティブの無声音=声帯が震える音が聞こないから発音しなくて良いと考えるため、抜かすそうです。

下は街を歩いているとよく聞く表現です。右側のカタカナは日本人に聞こえてくる音を表しています。

ベトナム人:「You speak English ?」ユー スピッ イングリッ ?
ベトナム人:「You are Japanese?」ユー ジャパニー?
ベトナム人:「You want motorbike?」ユー ウォン モーターバイ?
ベトナム人:「You like Vietnam ?」ユー ライ ビッナム?

私:    「イエス、アイ ライク ベトナム!」

以上が、日本人なら知っておきたいベトナム語の特徴でした。
上記のようなベトナム語の特徴を、街や職場で耳にしたことがありましたでしょうか?

ここまで読んでいただきありがとうございました。
それでは、タンビエッ(さようなら) !

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