ワイヤレス給電でLチカ:ヘッドモデルに輝きを♪[23日目]


本記事は、Cerevoスタッフが業務や趣味について思うままに書き綴るアドベントカレンダー企画「Cerevo アドベントTechBlog 2017」の第23日目です。

Cerevo アドベントTechBlog 2017
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電気エンジニアの押切です。

今年は2回目の投稿になります。

最近無線給電を使って、模型のベース上に置いたフィギュアに、LEDチップ貼り付けるだけで発光するX-BASEという商品が発売され、個人的に興味があります。

照明の様な実用性はなくても、プラモやフィギュアを手軽に発光させたいという需要はあると思いますし、自分も子供のころ苦労してガンプラの中に回路を仕込んでツインアイを発光させた思い出があります。

そこで、簡易版ながらワイヤレス給電 でロボットの目を光らせてみます。

対象は、ジェイダイトのヘッドにしました。ディアゴスティーニの変形ラジコンロボだったのですが、途中で惜しくも休刊となってしまいました……。

写真はベースから給電してヘッド内で受電してツインアイが発光している様子です。

作り方を簡単に説明します。

1次側(給電側)の作成

ワイヤレス給電方式にも複数ありますが、磁界共鳴方式のLC共振で通電させます。簡易的なブロック図としては

となります。

簡単に原理を説明すると、発振回路で2つのFETを交互にONしてコイルを駆動します。送信受電コイルはトランスの1次側2次側の絶縁電源として捉えるイメージしやすいと思います。

1次側の回路は、新規設計が間に合わなかったので、「ワイヤレス電力給電実験キット」の回路をほぼそのまま流用しました。グリーンエレクトロニクス「キットで体験!CとLと非接触パワー伝送の実験」を参考にさせていただきました。

回路図はこの書籍に記載されているのでここでは記載しませんが、回路のキーパーツの発振用IC(TL494CN)とFET(耐圧高めのものを選定し直し)(TK6A65D)は秋月で入手、

コイルは、オヤイデでリッツ線UEW線を入手して巻きました。共振周波数は128kHz程度としました。1次側は数百Vと高電圧になる場合があるので安全に注意して下さい。

コイル定数の測定は前回の記事でも紹介したLCRメータを使用しました。

ディスプレイベースはライオボード(単体での販売は終了したようですが、RIOBOTシリーズに付属するようです)を採用して、そのサイズに収まるサイズのコイルをUEW線で巻いて裏面に設置しました。

2次側(受電側)の作成

今回は2種類作りました。

1つ目は、簡易にLEDだけ光るもの。LとCとLEDの3つの部品だけで作れます。

LEDもダイオードなので整流させる効果があります。おそらくX-BASEのLED側も同じ構成と思われます。

コイルはシールドされたものは磁界を拾えないので巻き線がむき出しの物がよいです。今回は、秋月の1mHのコイルを使って分かりやすく外装を剥いてあります。

この場合周波数を合わせるため、Cをその分小さくします。空中のコイルの上に緑のLEDが光っているのが分かるかと思います。

2つ目は受電後、CPUでLEDの光り方を制御します。1つ目より多少複雑になって、受電-整流-LDO-CPU-LEDとなります。

簡易に半波整流した後、高電圧でCPUを破壊しないようにLDOで5Vを作成。CPUは小型AVRのATtiny10を選びました。

コイルはヘッドに入るサイズでなるべく大きくUEW線で12uHを狙って巻きました。実装すると多少大きくなりますが、ヘッドには十分入りました。

この大きさならコイン電池が十分はいる!という突っ込みが入りそうですが、バッテリー切れの心配がないので、一度埋め込めばメンテナンフリーになるメリットはあります。

CPUのコードはただのPWM制御ではなく、アニメっぽく光るような演出を加えています(同僚の北林氏作成)。

ATtiny10の開発環境は、Atmel Studioで作成し、Arduino UNOを改造したAVRISP mkⅡクローンライターでTPI書き込みして作成しました(純正ライターは現在ディスコンになってしまいました)。

ソースコードはgithubに入れたので参考にして下さい。

おまけ

Qi規格の共振周波数も近いので2次側のLEDモジュールをおくと、受電して発光、点滅します。

Qi規格では規格にのっとった受電機器かを知るために通信していますが、通信するためには給電する必要があり、通信してNGだったら消えるが再度通信でまた光るというのを繰り返して点滅していると思われます。

距離はほぼ接触させないと光りませんが、2次側はすぐ作れるのでQi給電器を持っている方は試してみると楽しいかもしれません。

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