アリエクガジェット分解「変身玩具」


はじめに

こんにちは、電気エンジニアのたひです。
記事を書くのは2年ぶりになります。いやぁ時が経つのは早いなぁ(すっとぼけ)。まだまだ駆け出したばかりです。
今回は、アリエクを漁っていて面白そうなおもちゃを見つけたので、ついでに分解して中身を見ていこうと思います。
また、この記事は電子機器を分解・解析して、技術的関心を深め、理解することを目的としています。模造品の製造や不正利用を助長するものではありません。

商品概要

中国の越境ECサイト「AliExpress」で販売されているUSBメモリ風のガジェットです。執筆時の販売価格は43.16USD(約6200円)です。

商品説明欄には、

  • 音量調整可能
  • LCD表示
  • 160種類の音声を内蔵
  • USBで充電可能
  • 手触りのいい滑らかな塗装

と書いてあり、この価格で入手できるガジェットとしてはかなり高機能で、意欲的だと思います 。

外観チェック

まずは正面から。
白いボタンと1.3インチの液晶、スピーカー穴があります。

背面には、電源スイッチと固定用ネジがあります。

側面には、充電用のUSB Type-Cコネクタがあります。

底面、砲弾型のRGBLEDと識別スイッチが2つあります。(同時に押し込むことはできずXORになっている。)

上面には、音量調節兼選択用の3Wayレバースイッチがあります。

電源を投入すると「RIDER SYSTEM」と表示され、謎の音声とともに起動します。 この状態で正面の白いボタンを押すことで、特定の音声と映像を再生することができます。

本体の分解

赤丸で示した5箇所のネジを外すと分解できます。

裏蓋を取り外すと、基板が出てきます。

基板構成

メイン基板は、厚さ1mmのガラスエポキシ(FR4)の両面基板です。
表面には電源ICやMCU、アンプ、Flashなどの主要部品が実装されています。

裏面にはUSBコネクタやボタン類、SDカードが実装されています。
このUSBコネクタにはプルダウン抵抗が実装されているので、PD対応充電器でも問題なく動作します。
また、SDカードには暗号化されていない動画や音声データが入っていました。

機能ブロック図

基板上に実装されている部品と接続されている周辺部品から、機能ブロック図を作成しました。

USBコネクタからは充電にのみ使用され、Li-Poバッテリのみで動作します。
電源スイッチをオンにすると、Li-Poから各電源ICとオーディオアンプに電源が供給され、MCUが起動し音声や映像を再生できるようになります。

部品解説

MCU

マーキング:HCSEMI B100 AAA 2450 LF 01084502E
型番:B100
データシート:ttp://www.zcsd-tech.com//download/content-44.html(※URLは”h”を補完)
DDR2メモリや音声/映像デコーダー、USBを内蔵した32bit RISCマイコンです。おそらくデジタルサイネージ向け?に本土で流通しているものと思われます。

Flash

マーキング:HG2329 25VQ32BTIG P3M517
型番:ZB25VQ32
データシート:semic-boutique.com/wp-content/uploads/2016/05/ZB25VQ32.pdf
32MBit(8MB)のNORフラッシュメモリです。おそらくプログラムや再生位置等の情報を保持しているものと思います。

オーディオアンプ

マーキング:HAA2018 A4104
型番:HAA2018
データシート:https://datasheet.lcsc.com/lcsc/2201121330_Hynitron-HAA2018A-B-R_C2928138.pdf
AB級とD級、2モードの動作が可能なオーディオアンプです。
同型番で調べると、100円均一ストア各社製品でよく使用されているICだそうです。 この基板では、D級アンプとして動作していました。

充電IC

マーキング:LTH0
型番:HX4054D
データシート:HX4054D | Datasheet | HX(hengjiaxing) | LCSC Electronics
単セルのバッテリ向けリニア充電ICです。USBからの入力を前提として、各保護機能が盛り込まれているようです。

まとめ

今回はアリエクで見つけた変身玩具を分解し、簡易的な解析をしていきました。
クリアランスなしの部品実装やバッテリの保護周り、USBの過電圧・突入電流対策、音質面など、いくつか気になる点はあるものの、これだけ高機能で十分に動作する玩具が6000円足らずで販売されているのは、さすがアリエクだなと思います。
他にも回路図を引いたり、メカ的なギミックの解析・解説にも触れたかったのですが、さすがにボリュームが大きくなりすぎるので、基板の機能周りに集中して記事を書いてみました。
こういった、いわゆる「光る!」「鳴る!」「バッテリで動く!」玩具がどういった部品で構成され、動作しているのかは掴めたかと思います。
玩具に限らず、身の回りの電子機器がどういった構成で動作しているのかを分解・解析するのは勉強になりますので、問題にならない範囲で積極的にやっていくと良いと思います。
それではまたどこかで(・ω・)ノシ

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