Raspberry Pi 4で楽天モバイルを固定回線化してみた

はじめに

こんにちは。電気エンジニアのカミムラです。

1ヶ月ほど前に楽天モバイルの回線速度を24時間測定した結果を紹介しました。その結果より、1日を通して比較的安定して一定以上の速度が出ていることがわかりました。まだの方は、こちらから御覧ください。

2021年春、楽天モバイルの回線速度を24時間測定した結果

今回は、 有線LAN接続や5GHz帯の無線LANも利用可能になり、 テザリング接続台数制限もなくなるメリットがある、楽天モバイル回線を固定回線のように使うということを試してみます。

楽天モバイル固定回線化構築

固定回線化の構成

固定回線化構築のために使用するものを紹介します。

今回は「Raspberry Pi 4 Model B 8GB」を使用してみます。OSは「Raspberry Pi OS」です。

今回は、スマートフォンのUSBテザリングではなく、ピクセラのLTE対応 USBドングル「PIX-MT110」に楽天モバイルのSIMを入れて、楽天回線を利用します。

公式には動作確認されていませんが、「PIX-MT110」は、楽天回線のBand3が利用可能なので、実際使用してみたところ通信できることを確認しました。

構成は以下のようになります。 無線LANルータなので、Wi-Fi接続も可能です。

パソコン <-> 無線LANルータ <-> Raspberry Pi 4 <-> PIX-MT110 <-> インターネット

セットアップ

まずは、 Raspberry Pi4(ケース(ファンなし))に、PIX-MT110(楽天SIM入り)を接続し、次に LANケーブルで無線LANルータに接続し、電源を接続します。

無線LANルータの設定は、今回はブリッジモードにします。

ラズパイにSSH接続し、以下のipコマンドを使用して Raspberry Pi4有線LAN(eth0)とPIX-MT110(usb0)のネットワークのブリッジを作成し、接続します。これで Raspberry Pi4の有線LANに接続されている無線LANルータはインターネットに接続可能になります。

$ sudo ip link add br0 type bridge
$ sudo ip link set dev br0 up
$ sudo ip link set dev eth0 promisc on
$ sudo ip link set dev eth0 up
$ sudo ip link set dev eth0 master br0
$ sudo ip link set dev usb0 promisc on
$ sudo ip link set dev usb0 up
$ sudo ip link set dev usb0 master br0

※上記の設定は、 ラズパイを再起動するとリセットされます。

固定回線化して実用に耐えうるか

通信速度の測定結果

パソコンのSPEEDTESTアプリでの測定結果は以下となります。

ばらつきはありますが、だいたい30Mbps以上出ていました。体感では、スマホは時折速度が遅いことがありますが、パソコンでのWeb閲覧、動画視聴では基本的に光回線と同等レベルの速さでした。

「PIX-MT110」は、Cerevoのライブ配信機器「LiveShell X」でも使用可能なので、この速度ならドングルを差し替えてライブ配信にも利用可能そうですね。

Raspberry Pi4 消費電流

常時運用する上で、気になるのが消費電流ですが、通信をしていないアイドル状態で平均約0.8A、SPEEDTEST測定時の通信負荷がかかっている状態で約1.13Aでした。

だいたい5W前後消費していることになります。今回はアンダークロックなどの省エネ対策はしていないため、設定やラズパイを前バージョンに変えれば、改善するかもしれません。

おわりに

キャリア各社から、 工事不要のSoftBank Air などの4G(5G)の自宅ネット環境デバイスが出ていますが、既設の環境に付け加えることでも構築可能なことをご紹介しました。

今のところ、楽天モバイルは1日の通信量が10GBを超えると約3Mbpsに通信速度の制限がかかります。なので、通信量が多い方にはこの固定回線は向きませんが、約3MbpsでもWeb閲覧や動画は問題なく見られますので、全く使えないレベルではありません。

引越し等で開通まで一時的にネット環境が必要な時に便利ではないでしょうか。

SIM対応の無線LANルータ等を利用すれば、もっと手軽に構築できますので、スマホのテザリングで不便な事が出てきたら試してみて下さい。

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