はじめに
こんにちは。電気エンジニアの早川です。
最近、アルコール検知器を購入しました。せっかくなのでちょっとした実験をやってみたところ、興味深い結果になったのでここにまとめます。
目次
アルコール検知器を使って飲酒後のアルコール濃度を測定
飲酒のインパルス応答
さっそく測定する前に……
以前の記事で系のインパルス応答を知っていれば任意の入力に対する出力を知ることができるというお話をしました。
お酒を一杯ぐいっと飲み干したときの呼気中アルコール濃度を記録しそれをインパルス応答として解釈すれば、任意の飲み方に対する呼気中アルコール濃度を推定することができるでしょうか。
使用したアルコール検知器
東洋マーク製作所のAC-016という機種を使用しました。
安価なポータブル式としては珍しい電気化学式センサーです。
缶ビール(ショート缶)1本の場合
飲んだ直後は急激に上昇し、すぐに減少しますが20分後にまたピークが出ています。測定時に口をゆすいではいるものの、口から直接検知器に入ってしまう分が影響して直後の急上昇が起こっていると考えられます。
20分後のピークは、体内に吸収されたアルコールが呼気に現れ始めた兆候なのではないかと思います。
80分で検出限界以下になってしまい、あまりおもしろいデータになりませんでした。入力が小さすぎたようです。
ストロングゼロ(ロング缶)1本の場合
ストロングゼロ ダブルレモンのロングです。これなら入力としては十分でしょう。
今度はそれらしいデータになりました。3時間半経っても表示が0にならず、さすがに飲み続けるのが辛くなったので中止しました。
やはり、飲酒直後のピークを除けばしばらく時間をおいてからピークが現れるようです。飲んだそのときは大丈夫でも後から一気に酔ってくる感覚と一致しますね。
1時間の間隔を空けて2本飲んだ場合の結果を推定する
ストロングゼロを1本飲んだ場合の結果を使って、1本飲んだ1時間後にもう1本飲んだ場合の呼気中アルコール濃度が推定できないか試してみます。
インパルス応答のようなデータが取れましたから、これを単純に時間シフトして重ね合わせてみたらどうでしょうか。
はたしてこの方法で推定したデータはどのくらい現実と一致するでしょうか。
実際に飲んでみる
まずはこちらのストロングゼロ ダブルグレープフルーツ(ロング)を飲んでみます。
そして1時間後にストロングゼロ レモン&ライムサワー(ロング)を飲みます。
このときの測定値をさきほどの推定値と同時にプロットしてみます。
実測値の方が高く出ました。どうも単純な重ね合わせではうまくいかないようです。
なせ合わないのか
調べてみると、人間のアルコールの分解速度は摂取した量に関わらず一定となるようです。
アルコールが一定の率で分解される(多く摂取すればその分速度も速い)のであればこのような重ね合わせが成り立ちそうですが、そうではなく一定の速度で分解されるため合わないことになります。
分解速度が一定であることを考慮する
ストロングゼロ1本を飲んだときの測定値から、グラフの青い部分を直線近似して傾きを求めます。これをアルコールの分解速度と考えます。
推定値の計算の際、2本目のタイミングから先はこの傾き分を差し引いて重ね合わせを行えばよいことになります。
単純に重ね合わせると分解速度が2倍になってしまいますが実際には変化しないのでその差分の補正するわけです。
今度はそれなりに一致しました。アルコールの分解速度は一定であることは事実なようです。
おわりに
ストロングゼロのような強めのお酒を飲んだときの呼気中アルコール濃度を測定しておけば、それ以外の飲み方をした場合の呼気中アルコール濃度をある程度推定できることがわかりました。ただし体調等他の条件による影響が大きいため、目安程度にしかならないでしょう。
ストロングゼロは悪酔いするということも身にしみてわかりました。自分には合わないのかもしれません。
また他のお酒であってもこのような実験はおすすめはしません。
適切な量を適切な速度で摂取するように心がけましょう。
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