本記事は、Cerevoスタッフが業務や趣味について思うままに書き綴るアドベントカレンダー企画「Cerevo アドベントカレンダーTechBlog 2018」の第11日目です。
Cerevo アドベントカレンダーTechBlog 2018
http://tech-blog.cerevo.com/archives/category/adventcalendar/2018/
こんにちは、なろう系読みすぎて夢で異世界に行く夢を見ました、kgsnです。
さて、今日は中国フル活用して、企画、製造、販売までを1人でやってみた時のことをまとめたいと思います。
経緯
当時、私はスタンドアップパドル(SUP)を体験した直後で、そのことでかなり頭が一杯になっていました。
SUPは、サーフボードに似たボードの上でパドルを使って漕ぐスポーツです。
基本的にはサーフィンのパドル付きで、カヤックとサーフィンの間みたいなものです。
河や海などの水辺で漕いでのんびりするスポーツなのですが、日本ではまだあまり見かけないので寂しいです。
SUPはハードボードとインフレータブル(空気を入れてふくらませる)ボードがあります。
インフレータブルボードは結構なサイズになるので、空気入れるのも大変で、かつある程度の加圧状態まで持っていかないといけないので、結構な重労働になります。
そこで膨らます際に、できたら車用の空気入れ使えないかな、と発想したのが1人メーカーをやってみることになったきっかけです。
品物探しから量産まで
Aliexpressを漁る
まずはネットで電動の車用の空気入れを探しました。
当時はバッテリーが乗ったポータブル電動空気入れが日本で売っていませんでした。それがあると便利だし売れるのではと考え、まずAliexpressで探していたところ、見つけたのがこれです。
このサイズ、まさに探し求めていたものだ完璧…と思って早速問い合わせをしてみます。
連絡をとる
Aliexpressのアカウントを作ったら、商品ページのaliwangwang(中国でメジャーなチャットサービス)のメッセンジャーを使ってチャットをします。
営業さんがPCの前にいない場合もあるので、返信が来なかったらしばらく放置しておきます。午後2時頃だと連絡がつきやすい印象です。
※会社にもよりますが、中国の営業さんは基本的に定時時間ないにしか大体いません。中国は-1時間の時差があるので、日本時間10時だと中国が9時になります。昼ご飯は11:30-13:00です。
商品のページ経由で問い合わせしても、商品のリンクが向こうに伝わっていない場合があるので、URLをコピーして連絡をするのが良いです。
商談
基本的に中国は小ロットだと安くしてくれません。
なので、言い値で買うことがほとんどです(他のところで同じものを作っている場合があるので、それはひたすら探しまくって相見積を取るのもあり)。
メッセンジャー上で単価について話をして、価格に無理がなければQuotation/PI(見積書)が欲しいと伝えて、見積をメールでもらいます。
その際にWeChat IDを伝えるとその後が楽に話ができます。
※ちなみに輸送費及び支払い方法によって手数料が変わってくるので、可能であればFedexやDHL等のアカウントを先に発行してもらって自分のアカウントを使って出荷してもらうようにすると良いです。
※大体のパターンは新規ユーザーだと工場側のレートのほうが安いです。輸送費の立て替えしてもらった場合の金額は幾らになるか、輸送会社の見積と比較するために一応聞いておくといいです。
※アカウントを育てると、営業さんがついてくれるので送料の値引き等が効くようになります。
送金
私は普段海外送金手数料が安い楽天銀行を使っています。
(UIが古くて、もう少しわかりやすく作ってくれればいいのに、とは思いますが、やすさには勝てず)
そこでOrder(注文書)を作成したあと、PI(見積書)に記載された会社名、口座番号、SWIFTコード等を記入して送金を行います。サンプル品くらいの低価格帯であれば送金のスクショを撮って送ると先行して手配してくれることがあります。
PO(発注書)は会社によって欲しい場合、いらない場合があります。私の場合はPI貰って金額に問題がなければPOなしで送金するようにしてます。
サンプル確認
商品のサンプルが送られてきたらモノを確認し、日本で売れるかどうかの品質等、問題がないかを確認します。
今回の場合は結局プロダクトの単価が高かったので、電動空気入れは発注しませんでした。
新規の金型を使った商品の開発
この電動空気入れの業者にWeChat経由で、空気入れの端子とSUPのボードをつなぐアダプターを作れないか試しに相談してみたところ、出来ると思うとの回答がありました。そこで作りたいものの写真を撮ってメッセンジャーでまず送り、後日参考になるアダプターサンプル+SUPのメス側のバルブを調達して送りました。
工場側に3Dのエンジニアがいたので、3Dデータを作ってもらうのとアダプターのメス側でチェックして現品合わせをしてもらいます。
商品の生産に必要な金型費の見積をしてもらった所1700USD(当時価格、激安!)だったので、楽天銀行から海外送金をしました。
量産サンプルの製作
金型を作る前に、3Dデータ及び、組み立ての行程上に問題が無いか心配なので、深センに別仕事に行くついでに1泊追加して現地の工場に立ち寄りました。
工場訪問の仕方
- セールスの人に〇〇日に深センに行くけど工場遊びに行っていいか聞く
- いいよって言われたら、現地への移動手段をBaidu Map等で調べる
- 最寄りの地下鉄の駅からタクシーで行くか、迎えに来てもらう
- 飛行機の時間と行程、予定を見て行く時間をセールスの人に伝えます
- 片言英語でいいので移動しながら雑談(外眺めながらWhat’s Thatとか聞きつつ場を和ませるのも1つです)
※大体私の場合は10:30くらいに現地について、軽く打ち合わせ→昼ご飯→もう少し打ち合わせ+工場内見学+サンプル確認→工場出るの流れです。
工場についたら
- 3Dのデータを見ます
- 工場側が想定している設計に問題がないかをチェックします。
※私の場合、結合箇所から空気が漏れそうな設計の問題があったため、ねじ込み式+接着剤でシールしてもらう、という形でお願いしました。
- 他にもパッケージとかステッカーとかのすり合わせもついでにします。
量産サンプルの確認
実際にサンプルが出来上がってきたら、それの動作確認と問題点の洗い出しをします。
今回、工場で打ち合わせをしてきたことで修正0で行くことができました。やっぱり現地に行くのは大事ですね。
量産とFBAへの入庫
量産している間、JANコードの登録とAmazon FBA/Yahoo ショッピングへの登録を行います。
テキストや商品の写真などを準備するのが大事なので、各種必要に応じて準備します。
量産された商品が送られてきたら、初回は全数検品を行います。検品のためあえてパッケージとかシールとかは逆に畳んで入れておいてもらうと、検品し忘れを防げて良いです。
洗浄と問題点がないかを検査し、終わったものから封して新しいダンボール箱に詰め替えます。
※中国あるあるのテープで巻かれたダンボールは大体輸送するときに雑に扱われる場合がおおいので、きれいな箱に移し替えましょう。
これで量産の一連の流れは終了です。
ちなみにAmazonでほとんど競合がなかったので、夏の時期はよくSUPカテゴリ1位になってます。
終わりに
いかがでしたでしょうか?
1人メイカー、この方法だと意外にやることはそんなに多くありません。自分が想定する理想と使うシーンを限定し、似たようなものを作っている工場に声をかけ、直接話し、お金を払って作ってもらうという方法で実現することができます。意外に簡単そうではなかったでしょうか?
私の場合、電気の知識がなかったので、まずはアナログから、とおもって挑戦してみた次第です。
ちなみに私はCerevoに入るまで英語が殆どできなくて、ひたすら実務で英語やってたら、なんとかなりました。
日本の市場にないアイデア商品のイメージを持っていたら、一回Aliexpressに潜って似ている製品がないか、調べてみると良いかもしれません。
ゆくゆくは1人でクラウドファンディングに出せるくらいの、オリジナルのプロダクトを作れるようになるのではないでしょうか。
ではでは。Have a good makers life!
著者プロフィール
- ほそぼそとPM