こんにちは。電気エンジニアをやっているもーりーです。
さて、今回のアドベントカレンダーは家建ててまだ1年くらいのフローリングに穴開けてやろう!というお話です。
自分の住まいに穴を開けることの快感をご存知ですか?
おそらくこれを読んでいる方の大半の方にはお役に立たない情報ですが、家に穴を開ける快感を全力でお伝えしようと思います!
さぁあなたも、これを読んで家に穴を開けましょう!こんな感じに。
なんでわざわざ改造するの?
そもそも今の時代、いろんなサービスがあり、専門業者にお願いするとリフォーム施工もやってもらえますよね。
あんまり改造なんて必要じゃなくね?って思いますよね。
ええ、私もそう思います。
たぶん世の中でDIYをする理由の大半が、
- 業者に頼むより安くできる
- 自分の好きなデザイン、ぴったりサイズできる
この2点になるかと思います。
自分の場合そういった合理的な側面もありますが、ここまでハマってしまった理由としては
- 業務とは違った知識がつく
- 家に穴を開ける快感・背徳感を味わえる!
- あるポイントを超えた先に見えてくるものがある
そういった経済的、合理的には説明できない部分だと思ってます
いわゆる沼です。
それはどんな沼なのか、今回はこの辺について語れればいいなと思います。
魔改造までの道のり
既にある家の改造行為って施工の中でも難易度は比較的高い方でしょう。
一度プロの方に聞いたことがありますが、本職の職人でも新築で建築するよりリフォーム施工のほうが施工難易度としてはかなり難しいそうです。(新築を施工する職人さんがリフォームできるとは限らない)
例えば、あなたが家に不満があって、「ここにこんな改造したいなぁ!」って思いついたとしても、じゃあすぐに「家を工具を使って改造しよう!」とはならないですよね。そうですよね。。。
それには様々な障壁があるからでしょう。
- 自宅がアパートやマンションのような借家である
- 家族への理解(嫁許認可)問題
- 改造していい箇所が分からない・家の構造へ影響しないかが分からない
- DIYの内容によって、免許や法的な白黒の問題が判断つかない
- 施工に必要な道具が施工内容ごとに必要になる
- 割と時間や労力がかかる
これら全てがクリアになって初めて改造ができます。穴が開けられます。
考え方によっては穴あけはこれら全てクリアにできた者だけが勝ち取れる権利ですね!
しかしこれらがクリアできても、実際に着手しようとするとなかなかハードルが高いですよね。家の改造にもステップがあります。
登山も段階を踏んで徐々に難易度の高い山にアタックしていくのと一緒で、改造も段階を踏んでアタックしましょう!
ということでこれから実践編に移ります。
[ステップ1]改造しよう!まずは壁紙(クロス)穴あけ・補修
家の壁に棚をつける、天井に物を吊るす、こういった事がサクッとできると便利になります。
このステップの一番の目的は「家族への理解(嫁許認可)問題」の下地作りです。
ここでの施工を疎かにすると次のステップに行けないのです。
それにはまずは壁紙(クロス)を制さないといけません。ただこの壁紙が厄介者。
壁紙の裏側は大抵、耐火基準を満たすために石膏ボードが貼られていることが大半です。
この石膏ボードは安価で耐火性がいいものの、もろくてネジなど打ってもすぐ外れてしまいます。
なので、ネジを打つ際は下の画像のように間柱などの構造材の上からネジを打つのがベストです。
それがどうしてもできない場合は石膏ボード用のネジを使いましょう(ただし穴が大きくなり、耐荷重も構造材ネジ打ちに比べると低下するのでできれば避けたほうがいいです)
間柱の位置の3つの探し方
- 壁を叩いて音で探す(職人向け、感覚が掴むまで慣れがいる)
- 針式の下地探しを使う(壁に細い針をグサっと指して探す。確実だが穴が空く)
- センサー式下地探しを使う(壁になぞるとLEDとブザーでお知らせ)
おすすめはセンサー式です。
間柱の位置がわかったら、マスキングテープを貼っていきましょう。
壁紙は一度穴を開けてしまうとあとからネジを外したときに穴が目立ってしまいます。それを回避するには、写真の様に壁紙をカッターで四角形にカットしておいて、めくってマスキングテープでなどで止めておきます。そうするともし棚を撤去する場合にネジを外した後、きれいに壁紙を貼ってほぼ目立たなくすることができます。
アパートやマンションでも現状復帰しやすくおすすめです。(保証は出来かねますので自己責任で行なってください)
この方法で壁のどこにでも穴を気兼ねなく穴を開けられるようになり、棚の耐震補強も出来るようにできます!
カッターで壁を思いっきり切ることが出来ます!
そして、壁や天井に穴を開けられるという山を越えたことで、棚の設置などやれることが広がります。
「そう、あなたの思い通りの好きな場所に。」
例えば、洗面台の上に棚を設置して家族(嫁)からの信頼も上げてみることも。
また特におすすめしたいのは、壁に全面に取り付けられる棚です。
見たことありませんか? そう、店舗で商品陳列でよく使われていますよね。
チャンネルサポートというもので、好きな位置に棚の高さが変更でき、服を引っ掛けるラックなど色んな種類のブラケットがつけられるようになっています。
様々なメーカから出ていますが、今回おすすめしたいのはロイヤルというメーカーです。
店舗などのディスプレイで使われているものを確認すると、ほとんどロイヤルが使われています。(山のようなロゴが刻印されています)
つまりデファクトスタンダードなので、ブラケットが後から入手しづらいというのも避けれます。衣装用ハンガーなどもあって種類も豊富な面も魅力です。
実際に施工するとこんな感じになります。
レールを左右2本設置してネジで壁に取り付けて、棚用のブラケットを引っ掛けて棚板を載せれば完成です。
部屋の壁に限らず洗濯機の裏側、クローゼットなどにつけるのも便利ですね。
▼金具の取り寄せ、メーカー情報
https://www.kanamorikanamonoten.com/store/royal-dabobasira.html
https://www.royal-co.net/catalogue/
[ステップ2]ちょっと本格的に木材加工
次に木材を加工していきましょう。
今やホームセンターに行けば2×4の木も、定尺の構造ベニヤもサービスカットしてもらえます。
わざわざ自分で板を切らなくても、置きたいスペースにぴったりの棚を作ったり、台を作ったりできます。
組み立てるにはカットする寸法を出さないといけないので、ぜひCADを使って設計しましょう。
Fusion360など無償のツールを作れば、先にどんなサイズで作ればいいか、どんな感じになるかイメージが付きます。
そして2次元図面で木材のカット寸法を出せば、ホームセンターですぐにカット指示として使えます。便利になりましたよね。
この辺はネットでもかなり先駆者がいらっしゃるので割愛します。
https://totomo.net/11284-fusion360wood.htm
[ステップ3]電気工事
「ここにスイッチがほしいな、コンセントつけたいな」
ってなった時に電気工事ができるといいですよね。
ただしコンセントやスイッチをいじるには免許が必要になります。
なのでここまで来たら第二種電気工事士資格を取りに行きましょう!!!
(実技試験で工具持ち込みなので揃えるのにかなりお金がかかりますが)
実用的な資格だと思います。
これができるとこんな感じでスイッチなんかをサクッと工事できます。
私が一番気持ちいのがやはり壁にカッターを立てる時です。石膏ボードはカッターでもサクサクっと切れます。
ただしカット場所をミスった場合、かなりリカバリーするのが辛いことになるので、注意しましょう。
一度切ったらもう戻れません!だから調査は念入りにしてください。開けてみてビックリなんてこともあります(意外な障害物があったり・・・)
でも開ける瞬間は常にドキドキがあってたまらないですよ。だって自分の部屋ですからね。他人事にはなれません。
ただし気をつけなきゃいけないのが、マンションや事業用の建物の場合です。
東京電力から建物へ6600Vなどの高圧受電をしている500kW未満の受電の建物の場合は法律的に「自家用電気工作物」という区分になり、認定電気工事従事者の資格が必要になります。(第二種ではないんです)
また、今回の趣旨には逸れますが施工を業務で行う場合は別に低圧電気取扱業務特別教育という厚生労働省管轄の教育を受ける必要があります。(2種や認定電気工事従事者は経済産業省管轄なのです)
複雑ですね~。
このあたりはこちらのページが分かりやすいので気になる方はぜひこちらをどうぞ!
https://blogs.yahoo.co.jp/linear_pcm0153/41074564.html
あとマンションの場合も受電によって必要免許が変わります。
このあたりも先程と同じ方の詳しいページがありますのでぜひ!
https://blogs.yahoo.co.jp/linear_pcm0153/41115559.html
ただしこうした改造は持ち家じゃないとできない領域です。なのでぜひ一戸建てを持ちましょう。(ローンつらいけど)
マンションは他に専有部・共有部の境界があったり、事前に施工の許可が必要だったりとDIYするには難易度が高いと思います。
「魔改造したいのにマンション買っちゃったよ」って方は、マンションを売って一戸建てを買うのも賢明な人生選択だと思います。
穴も開け放題です。
[ステップ4]応用編・3DCADでイメージを家族に共有
さぁ、ここまでの長い道のりを経て、家族から施工に対して信頼も得ていることでしょう。
使いやすい3DCADが出ているので、こんな感じに事前に細かく設計して、施工後のイメージがレンダリングで見ることができます。
この完成後のイメージ・施工見積もり・工期を伝えればきっと家族(嫁)からも施工の許認可が下りるでしょう。
(自分はこれで何度か却下を繰り返した後にリビング施工の許認可がおりました)
その設計を基に施工したのがこれです。
ドキドキのリビング天井大穴ぶちぬき!
家の中でリビング施工というのは一番見た目が重視される空間なので、今までやってきた成果がここで問われます。
そして普段生活する場なのでだらだら長く工事はしていられません。工期管理も大事です。
そして大穴開けてから初めて見えてくる世界(新築時の電気施工屋さんの適当な配線が発覚して、この後時間を溶かしたのでした・・・)
天吊スピーカー上の強化工事
ケーブル施工用PF管大量埋め込み・・・・・・
クロスを貼って、
ようやく施工が完成です!(ここまでで丸5日かかる)
この後、写真に収まりきらない長~いスクリーンを1人設置大会を行って(本当は2人でやらないといけないですよ)、
無事完成です!!!
施工後(上)と検討時CGレンダリング(下)の比較。
だいぶイメージが近い!
ということで、みなさんもぜひ3DCADを入れて、部屋の間取り考えたり、施工する際に活用してはどうでしょうか?
机とか家具の模様替えのときも、実寸ベースで広くきれいに見えるレイアウトを検討できるので威力を発揮します。
早くアパート契約や住宅購入した際に、間取りの3Dデータ(Stepファイル)が標準でもらえる世の中になるといいですよね。
そして家に穴を開けましょう!
開けたら先に進むしかないので。まずは開けましょ。
戸建てなら、たとえ新築から1年だったとしても、フローリングに穴を開けることだって出来てしまいます。
コアドリルで穴を思いっきり開けて、外の世界にHello Worldして、エアコンをつけてみたりもできます。
フローリングを張り替えてコンセントをつけてみたり、ブラブラ仮設スイッチつけてみたり、
床上フロア作って、
遮音してみたり。
ドアを作ってみたり、壁紙を貼ったりもできます!
すごいよ一戸建て。魔改造バンザイ。
[番外編]意外と大変な廃棄
楽しい工事の後にやってくるのが、出てきた大量の廃棄物です。
木材などは分別して自治体のゴミ回収などで処理できますが、意外と大変なのが石膏ボードです。
ホームセンターで定尺で1枚800円くらいと大変安価で加工しやすく、耐燃性もいいのですが、廃棄する際にまず自治体のゴミだと回収してもらえません。
産業廃棄物処理業者でもかなりの量にならないと割高で、業者に聞くと少量だと1枚1000~2000円と言われたくらいです。
特に注意しなければいけないのが濡れてしまうと更に廃棄ができない、もしくはできても回収費用が跳ね上がります。
おすすめは中間処理施設に相談して、持ち込みで処理するが一番安価です。
事業者登録して持ち込んで回収してもらいましょう。
(写真は車で中間処理施設へドナドナする様子)
[最後に]作り手の視点を持つと世界の見え方がちょっと変わってくる
ここまでのステップを踏んだ後では、家やオフィス、店舗などの見た時に「ここのクロス施工すごいなぁ」とか、「壁の向こうの構造こうなっているのかな?」と、建物に対して見える世界が変わってきます。プロ・職人さんってやっぱすごい。
展示会の仮施工の裏側の配線に見入ってしまったり、
IKEAの天井の配管・配線に「おおっ」てなったり、
配管・施工の作業に想いを巡らせたり。。
私が一番大事にしているものが「作り手側の視点」を持つことです。
1つの景色やモノに対して想像できることが増えて、見える世界もずいぶん楽しくなります。
有限な時間で生きているからこそ、1つの景色からでもいろんな視点を持てるほど、ただ歩いている瞬間でもずいぶん濃度が変わってくると思います。
興味は人それぞれなので施工に限らずですが、いろんなことにチャレンジしてそれを超えたからこそ得られる景色。
その景色を皆様もぜひ見てはいかがでしょうか?
きっと昨日より楽しい世界が広がるはずです。
本記事は、Cerevoスタッフが業務や趣味について思うままに書き綴るアドベントカレンダー企画「Cerevo アドベントカレンダーTechBlog 2018」の第10日目です。
Cerevo アドベントカレンダーTechBlog 2018
http://tech-blog.cerevo.com/archives/category/adventcalendar/2018/
著者プロフィール
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Cerevoの電気エンジニア
家ではCNCにハマり、家のDIYにハマり
いろんな沼に足を入れてしまって抜け出せない状態。
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