本記事は、Cerevoスタッフが業務や趣味について思うままに書き綴るアドベントカレンダー企画「Cerevo アドベントカレンダーTechBlog 2018」の第8日目です。
Cerevo アドベントカレンダーTechBlog 2018
http://tech-blog.cerevo.com/archives/category/adventcalendar/2018/
こんにちは、アドベントカレンダー8日目担当の大柿です。
Cerevoでは国内の営業を担当しております!技術系の話が大好きです!とはいいつつも、最近は電子工作から離れてしまい他人に語れる程の旬なテックネタが無くなってしまったので、今回はCerevoメンバーにも量産立ち上げや展示会等でゆかりの深い香港で私が実際に経験した、いろんな意味で最も刺激的だった体験について書きたいと思います。
自己紹介
私は小さい頃から自分の手を動かしながらものを作るのが大好きで、大学時代は電子工作を趣味程度にやっていました。将来はハードウェアスタートアップで働くんだ!という漠然とした希望をもっていたので、在学中はこのアドベントカレンダーやテックブログに自然とたどり着き、読み漁っていたことを覚えています。まさか自分が書き手になるとは思ってもいなかったので今すごく不思議な気持ちで書いています(笑)
そんな私ですが、先述したように在学中からハードウェアスタートアップに興味があったので、大学3年時に留学の話を聞いた時に自然と「深セン」や「香港」というワードが湧いてきました。これを周りに話すといつも「もっとアメリカとかヨーロッパとかキラキラした所に行きたいと思わなかったの?」という趣旨の事を言ってくる人がいますが、ほんとに思いませんでしたし、むしろ香港&深セン一択 みたいな感じでした(笑)
そんなこんなで私の香港行きは決定し、大学4年の夏から1年間留学できることになったのですが、留学前に一つだけ大きな懸念点がありました。
親知らずによってできた孔
実は出発直前に受けた歯科検診で親知らずが原因で他の歯に孔が空いていることが分かったのです。
図示するとこんな↑感じです。だいぶ前の話なので詳しくは覚えていないのですが、日本の歯科医からは
「下顎右奥の親知らずが悪さをしており、前の歯に孔が空いてしまっています。できれば今日にでも抜きたいのですが、予約でいっぱいなので残念ながら今日は無理です。できれば出発前に日本で、できなければ留学先でなるべく早く治療して下さい。」
といった内容の診断結果を告げられました。が、その当時は痛みが殆どなかったのに加え、留学の事で頭がいっぱいになっていた私にそんな言葉が響くはずもなく、治療を放置したまま出発してしまいました。
香港到着、そしてすぐにやってきた痛み
香港留学当初は「もし痛くなっても1年位我慢できるだとう。日本にもどってきてから治療しよう。」とたかを括っていた私だったのですが、留学開始後1ヶ月もしないうちに、親知らずの周辺がズキズキするようになりました。それから1週間もすると授業にも支障がでるようになり、極めつけに冷たいものを食べると
「ズキーーーーーーーーン!」
という耐え難い痛みが奥歯周辺を襲うようになりました。大好きだった香港スイーツの「楊枝甘露」や「芒果豆腐花」も食べられなくなってしまいました。
「さすがにこれはやばい、、、楊枝甘露が食べられないなんて香港にいる意味が無い!」
と思った私は、しぶしぶ通っていた大学の歯科を受診することにしました。
楊枝甘露(ヨンジーガムロウ)・・・これが食べられない=香港にいる意味が無い
芒果豆腐花(モーングォーダウフファ)・・・これも絶品
診断結果
大学の歯科を受診すると、まず歯のレントゲンを取られました。レントゲンを見ながら先生の話を聞くと、当然ですが日本の先生の診断結果とほぼ同じ答えが返ってきました。
「やっぱり治療が必要なのか、当たり前だよな~」と一息ついた私でしたが、先生がさらっと発した次の一言で凍りつきました。
「親知らずは勿論抜くのですが、孔が空いてしまっている前の歯は状態によっては神経を抜く必要がありますね。」
「あと、下の歯を一本だけ抜くとかみ合わせにも影響するので上の歯も一緒に抜いた方が良いですね。
上顎左の奥歯も不要なのでついでに抜くのが良いかと思います。」 ※大学入学前に下顎左奥の親知らずは既に抜いていた。
「え!?」
先生の言葉どおりに頭の中でイメージしてみたのですが、施術内容のあまりの恐ろしさに言葉が出ませんでした。
つまり先生はより完全な治療を目指すなら親知らずを3本抜き、さらに1本は神経を抜く/詰め物をすると言っていたのです。
「いやいやいやいや、怖すぎる。しかもなんでそんなすぐに神経抜くとか判断できるの?」
考えるだけで心が痛んでいきました(笑)診断を受けた日の午後はショックが大きすぎて考え込んでしまいました。
治療内容を絵にするとこんな↑感じ
その後一時は「上の歯を抜くのは不要だよな~」「ひょっとして抜いた歯は中国内地に行って闇市場に出回って差し歯になるのかな?笑」といったような馬鹿げたことまで真剣に考え、一時は治療を断念しようとも考えたのですが、ネットで調べに調べまくった結果、先生の診断結果はとても合理的な判断である事が分かった上、早期に治療を行わず状態が悪化すると、更なる治療が必要になるだけでなく留学中ずっと痛みに耐え続けなければならなくなることが分かり、結局これら考慮して診断通りに治療を受けることを決意しました。
香港の歯科が抱える問題
私の決心がついた事は良かったのですが、事はそう簡単には運びませんでした。なぜなら大学の歯科は3ヶ月先まで予約がいっぱいだったからです。悪化する前に治療したいなら民間の歯科で治療を受ける必要がありました。(あとで現地の友人に聞いて分かったのですが、香港内の大学の歯科は非常に安い価格で質の良い治療を行ってくれると評判で、数カ月先まで予約で埋まっていることが多いそうです。)かと言って民間の歯科で治療を受けるのにも問題がありました。
問題1. 治療費がめちゃくちゃ高い(日本の約5倍)
問題2. 留学前に10万円で加入した海外旅行保険が効かない(涙)
そして私が当時見せてもらった治療費一覧がこちらです。
大学の歯科の治療費 ※原本の写真が無いのでデータだけ掲載します。
Simple extraction(手術を伴わない抜歯)
Undergraduate(学部生):HKD 100(約JPY 1,500)
Postgraduate&Staff(院生/職員):HKD 200(約JPY 3,000)
Surgical extraction(手術を伴う抜歯 例:埋伏智歯の抜歯など)
Undergraduate(学部生):HKD 500(約JPY 7,500)
Postgraduate/Staff(院生/職員):HKD 670 (約JPY 10,050)
民間の歯科の治療費
ここに
Wisdom Tooth Removal (Non-Surgical) =simple extraction (抜歯)HKD 800~1,800(約JPY 12,000~27,000)
Wisdom Tooth Removal (Surgical )=(手術を伴う抜歯 例:埋伏智歯の抜歯など) HKD 2,500~3000(約JPY 37,500~45,000)
とあります。他の複数の歯科と合わせて平均をとると、だいたい通常の抜歯でHKD 10,00~3,000 手術を伴う抜歯だとHKD 2,500~6,000でした。
差は一目瞭然ですね、大学だと約1/5~ 1/10で受けられます。それにしても民間はどうしてこんなに高いのでしょうか?真偽は定かではありませんが、香港は土地代が高いからその分が治療費に反映されている、といった話も聞いたことがあります。日本だと抜歯はよほどの事が無い限り、治療費が1本あたり1万円を超える事はないですよね。
保険の話
また保険に関してですが、海外旅行保険は基本的に歯科治療に適用されないようで、私が大学にすすめられて10万円で加入した海外旅行保険でもカバーできませんでした、、、(海外で歯科治療が必要になりそうな人は歯科治療にも適用できる保険への加入を済ませてから渡航するようにしましょう。因みに、日本の社会保険制度も適用されますので、日本で治療費の請求が可能な場合も多いそうです。ただし、治療費の計算時には日本で治療を行ったと仮定した時の治療費が適用され、その額の7割がもどってきます。また、後から請求しますので、現地では基本的に自腹です。治療の際に治療報告書を書いてもらい、保管しておきましょう。加えて日本に一次帰国する時に治療するやり方もあります。)
長くなってしまいましたが、抜歯についてまとめると、
1. 痛みに3ヶ月耐えて破格の治療費で抜く
2. 日本の5倍の治療費を払って今すぐ抜く
の二択しかなかった訳です。健康を取るか、金を取るかです。私は自分が3ヶ月も痛みに耐えられる程タフでは無いことを知っていたので、可能な限り早期のうちに民間で治療を受けることにしました(笑)
いざ、抜歯!
一番困難で早急な治療を要した下顎右奥歯の抜歯と上顎右奥歯は、大学から紹介された民間の歯科で手術を受けました。私の担当の先生はとても聡明そうな先生で、初診の頃からかなりおっとりとした印象を受けていました。それが唯一の私の心の救いだったのですが、施術になると先生がいつもの先生でなくなりました(笑)下顎右奥歯の手術が始まると、先生の態度が豹変し、動きがどんどんアクロバティックに、、、歯を掴む鉗子を動かすスピードが日本ではあり得ないレベルでした。
私:「ひはぃ ひはぃ ひはぃ!」
必死に目で訴えると手を止めてくれました。香港の歯科医については色んな噂を聞いていたのでとても怖かったのですが、あれはただ単に手際が良かったのか、少し先生がアクロバティック過ぎたのかは定かではありません。その後、手術のところどころでズキズキ痛むことはあったものの、無事手術を終えました。
また、親知らずが貫通していた親知らずの前の歯は孔がギリギリ歯髄に達していなかったようで、神経を抜くという恐ろしい手術をする必要も、その高額な治療費を支払う必要もなく、通常の虫歯と同様詰め物だけで済みました。
上顎左奥の親知らずは早急な処置が必要な訳ではないとの事だったので、3ヶ月まって大学の歯科で抜歯を行いました。この上顎左奥と右奥の親知らずは2本とも下の親知らずに比べるといとも簡単に抜けました。下顎の抜歯で痛みに耐性がついたのか、術後は「こんなもんか」と感じた程でした。
まとめ
以下今回の香港での歯科治療(親知らず×3の抜歯、虫歯治療)の纏めです。
掛かった費用:HKD 5,400(JPY 81,000)保険の適用無し。全額自腹。
全治療期間:3ヶ月
術後の経過:歯の詰め物がとれたり、かみ合わせが悪くなったりすることも無く、術後の経過は非常に良いです。全体的に治療の質は高いが、治療費が非常に高いのでそこまでお得感が感じられなかった、というのが正直な所です。ただ、留学の初期段階で治療できたおかげで生活の質が向上し、残りの時間を楽しむ事ができたことは非常に良かったと感じています。
いかがでしたか?異国の地で抜歯とか恐ろしいですよね?加えて保険が効かないとかもっと恐ろしいですよね(笑)もし海外で治療が必要になった方はくれぐれも出発前に保険のチェックだけは忘れずにしておきましょうね。因みに香港大学の歯学部はQS世界大学ランクで1位らしいので、香港の歯科だと質が良い治療をしてくれる先生は多そうですね。
https://www.topuniversities.com/university-rankings/university-subject-rankings/2018/dentistry
(そういえば私の担当も香港大学出身だったような、、世界一の治療は世界一アクロバティックなのか?)あと、個人的に興味があるのでもし中国内地で歯を抜いた事がある方おられたらどんなだったかコメント下さい!笑
いつまでも健康な歯を!
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