本記事は、Cerevoスタッフが業務や趣味について思うままに書き綴るアドベントカレンダー企画「Cerevo アドベントカレンダーTechBlog 2018」の第1日目です。
Cerevo アドベントカレンダーTechBlog 2018
http://tech-blog.cerevo.com/archives/category/adventcalendar/2018/
こんにちは押切です。今年もCerevoアドベントカレンダー始まります。
(前回のアドベントカレンダー執筆のPVのおかげで、マンガ家の たき りょうこ先生にアイコンを描いていただきました)
目次
Cerevoにおける近況
今年のCerevoはいろいろ社内的動きがありました。
4月から体制が大きく代わり、分社化したり、経営陣が一新されたりしました。
6月からは社屋も、富士ソフト秋葉原ビルの11Fに帰ってきましたので、DMM.make.AKIBAとの連携を再度強めてスタートアップを手伝ったり、秋葉原発のハードウェア文化を盛り上げていきたいと思います。
私も、(サンタから未だ人望は届きませんが)電気エンジニアから、社長室にポジションが変わりました。
社長室といっても社長秘書のような仕事ではなく、具体的には、量産対応、Cerevoでは、主に中国、フィリピン、ベトナムの工場を使っています。それらを訪ねて新体制として挨拶したり現場を見て品質を指導(もしくはリワーク)をしたりしています。
他にも営業、広報、スタートアップ支援対応、製品リワークといろいろやってます。
以前は、電波暗室に住み着くような引きこもりエンジニアだったので、配信事例現場で声優の方にお会いしたり、某社の社員用製品展示室で貴重な製品を見せいただいたり(ただし火事の場合は容赦なく窒素充填されるライブラリ)大変なことも多い半面、これまでにない経験をしています。
同僚をVtuber化
また、仕事の中には、弊社役員から、「魔法少女になりたい」と変身要望をいただいたので、VTuberキャラクタ”魔法少女くにゅくにゅ”をIVRさんのVカツというアプリで作ってみました。
素体からパラメータを弄るタイプの編集なので、素人の自分は一から作るよりかなり簡単でした。
外見は綿密な理想の聞き取り調査後、要望通り出来たと思います。本人も大満足です。
VRゴーグルを使って動かしてみると自分の動きにあわせて魔法少女が動きます。弊社のスイッチャーLiveWedgeにキャラクタとアニメ映像を入力、クロマキー合成すると、好きなアニメの世界で魔法少女を動かすことができました。
LiveWedge
https://livewedge.cerevo.com/ja/
踊ってみたら、おっさんなので残念な結果になりましたが、Vカツのアップデートにより、ダンスが30パターン用意されたので解決。
残る問題は声です。ボイスチェンジャーでジェンダーチェンジはできますが、声を変えただけで女の子になるというわけではありません。
やはり少女としての演技が問われます。奥さんに鍛えられているようですので、”魔法少女くにゅくにゅ”プロジェクトについては、今後の椚座先生のご活躍にご期待ください。
Vカツ、好きなアニメキャラにも似せたりもできて楽しいです。
自分は好きなキャラを作って声の問題はAHSさんのVOICEROIDEにしゃべらせてプレゼンしてみました。
時間もきっちり守ることができ好評でした。
仕事に疲れたらPCの画面の隅っこで踊らせておくと元気がでるかもしれません。
展示会で安定性の高く製品デモを行うには
さて、前置きが長くなりましたが、毎年1月にはCESなどの大きなイベントもあります。そうした製品発表の場は、特にスタートアップのみなさんとっては、その後の資金調達や会社の存続にかかわる場合もあるので重要かと思います。
新しいIoT製品の発表の場は格段に増えましたが、インターネット前提のため、展示当日その場所で予定していたデモができないというような場面もあります。
大きな原因の一つとして、無線LAN環境の不安定さがあり、その結果、意図した動作ができない。ものによっては、全く動作せず文鎮化してコールドモックになってしまう場合もあります。
会場に有線LANがあり、製品に有線LANが接続できるならそれを使うに越したことはありませんが、そうでない環境の方が多く、無線LANを使わざるを得ないのではないでしょうか。
開始前のリハーサルでは問題なかったのに、お客さんが入って 本番開始した途端に繋がらなくなるという状況もあり得ます。
主な原因としては、
- 会場は無線LANが混みすぎている(来場したお客さんがモバイルルータ等を持ち込んだり、テザリングしたりしている)
- 2.4GHzしか製品が対応していない。
等があるかと思います。
そこでCerevoでは無線LANをあてにできない会場でIoT製品をデモするための解決策を2点紹介したいと思います。
事例1:「LiveShellで安定動画配信」の場合
弊社主力のライブ配信機器ですが、大容量で安定した上りの回線が必要で、展示会のような回線の安定しづらい環境とは相性が悪いです。
そこで、SIMを使って、LTE回線を使い、配信機器との接続は、モバイルルーターなりで有線LANに変換して、有線LANケーブルを接続しています。SIMは上り専用を謳っているプリペイドのものもいくつかあり、試してみましたがある程度連続して上り回線を使うと、制限が掛かり配信が止まる、そしてしばらくすると復帰するという動作を繰り返し、安定しませんでした。
現状は、アップロード無制限の株式会社キャムキャスト7さんのCamCastMobileというSIMを使っています。
http://www.camcast.jp/ccm/short/
これは他社の配信機器でも実績がありますし、社内で試してもLiveShell Xで2Mbpsの安定配信ができました。法人しか契約できないですが、3日間の1万円の短期プランから、1,2年間までのプランがある(2018年11月現在)ので使用頻度によって使い分けられ、USBドングル状態やSIM単体で借りられお勧めです。
LiveShellではDashboardやYouTubeなどの配信サービスを通して配信しますが、それらをつかわず、ローカルでRTSP配信した方が安定し他社によるトラブルもを防げます。
株式会社キャムキャスト7
http://www.camcast.jp/
もちろん地下展示会場などの場合は、LTEが届かず安定しない可能性がありますが、一般的には地上の場合が多いので、無線LAN製品の方は試されるとよいかと思います。
事例2:「タチコマでニーズに合わせた演技を!」の場合
弊社のもう一つの主力製品がトイ事業です。
1/8 タチコマは「うごく、しゃべる、並列化する」がウリですが、下記のように重要な機能はネットワークサービスに頼っています。
見る
画像認識エンジン : Microsoft Computer Vision API Microsoft社
聞く
音声認識エンジン : Google Cloud Speech API Google社
しゃべる
語彙エンジン : TrueTALK Jetrunテクノロジ株式会社
音声合成エンジン : AI Talk(R) 株式会社エーアイ
なので、折角の機能もネットワークが繋がらないと使えません。
タチコマ自体はメジャーなキャラクターなので、コールドモックであれば多くの玩具メーカーさんたちがさまざまなタチコマを発売されており、それらと比較すると価格差が際立ってしまいます。
タチコマはポッド内にUSBポートがあり、そこに2.4GHzか5GHzの無線ドングルを差すことでネットワークに繋がります。
有線LANポートはありませんので、事例1のように有線LANが接続できません。
(製品によってはUSB-有線LAN変換アダプタを使うというもあると思います)
タチコマは21個のモータを制御することで可能となっている複雑なアクションや、600を超えるセリフが用意されているので、開発デバッグも大変です。
そのこともあり、タチコマはLuaスクリプトに対応しており、スクリプトで任意の動きや、セリフを喋らせることができます。
こういった仕組みを用意しておくと、デモにも有効です。
Luaスクリプトでの動かし方
具体的には、テキストファイルを準備して以下の内容を書き込んでいきます。
ファイル名を「autoexec.lua」としてUSBメモリに保存し、無線LANドングルの代わりにポッドに指すとスクリプト動作を繰り返し行うことができます。
while true do end
の中に、
両腕を上げるなら
tc.arm("both", "up")
waitをおくなら
tc.sleep(3)
を記載します。
展示会に来られるお客さんに合わせて、アニメ系のコアな展示であれば、アニメの名台詞を多く取り入れる不特定多数のお客さんの場合は、動きを多くして目を引きやすくするなど演じ分けが簡単にできます。
そんなわけで、これからもCerevoと魔法少女くにゅくにゅをよろしくお願いします。
社員も募集しています。
特に、ソフトエンジニア、メカエンジニアの方ぜひ!
応募はこちらから
https://cerevo.com/recruit/
著者プロフィール
- 2015年にCerevoへジョイン。電気エンジニアを経て、現在は執行役員