犬の嬉しくてしかたない顔をずっとみてたい話[15日目]


本記事は、Cerevoスタッフが業務や趣味について思うままに書き綴るアドベントカレンダー企画「Cerevo アドベントTechBlog 2017」の第15日目です。

Cerevo アドベントTechBlog 2017
http://tech-blog.cerevo.com/archives/category/adventcalendar/2017/

はじめまして旧amaguriです。ITな世界で仕事をし公私共にTechに囲まれて20年を越えようという(だいぶ越えてましたが)1年前に、Cerevoに参加しました。
完全な非エンジニアなので、今わたしが唯一情熱を傾けることができる、愛犬との旅、犬宿について、Tech成分ゼロで長々お話ししたいと思います。

これまでずっと、ほんと仕事が好きなんだねと言われ続け、あたらずも遠からずなので反論もせず、それなりなライフイベントは起こりつつもライフスタイルは変えることなく、マイペースに過ごしていた7年半前のGWに、ある理由から愛犬との生活が始まり、生活が様変わりしました。

それまで仕事してるか飲み食いしてるか寝てるかだった生活が激変し、日常はややおざなりながらも寝る暇(たまに仕事の暇)を惜しんで愛犬ーー”彼女のことを”ぶどう(仮名)”と呼びますーーの面倒をみてます。ずっと育児状態な感じですが、ぶどうは一人でお留守番ができるのが大きな違いです。

週末には健康的に4時間ほど皆でだらだらお散歩を兼ねてあちこち食べ歩きをし、四半期に1~2度は一緒に旅をします。

旅と言っても、ぶどうを休憩なしで長時間拘束はできないので、車でだいたい3時間くらいで到着するエリアがメインです。それでも年に1度は飼い主の気分転換のためにも石垣島宮古島などに遠出します。ぶどうはゼロ歳児から飛行機旅行の訓練をしているので、飛行機直行便で片道3時間くらいなら、事前の健康状態に細心の注意を払って乗ってもらえます(パグなどの短頭種でなければ大丈夫な範囲です)。

飛行機は3時間まで
飛行機は3時間まで

目的地はお宿で決める

その、車で3時間エリアですが、飼い主がわざわざ寒いところに行きたがらないのでだいたい南関東エリアが定番です。観光目的ではないので、犬が、できるだけずっと楽しい嬉しいと感じていられることを条件に選んでます(想像でしかない…)。

伊豆の老舗旅館をリノベした絶景の犬旅館「レジーナリゾート伊豆無鄰」
伊豆の老舗旅館をリノベした絶景の犬旅館「レジーナリゾート伊豆無鄰」

伊豆半島地域は行政ぐるみで犬家族誘致を展開中でだいたいどこでも犬連れOK、ありがたい限りです。お宿はここ7年間だけをみても静岡地域だけでなく千葉エリアまでの広域で、お部屋に専用ドッグランや専用露天風呂を配し、敷地内には広いドッグラン、専用お散歩コース、カフェベーカリー、個室レストランや足湯湯屋などの施設を備えたラグジュアリー化傾向が加速しています。たとえば、皆さんパセラでパンフレットを目にしたことがあるかもしれない「ウブドの森 伊豆高原」(パセラグループの伊豆リゾート計画の一環)は、代表的な”ちょっとしたいい犬宿”といえます。

この1,2年のペットショップやペットアイテムショップ、犬宿の増加はペットビジネスバブルに感じられてやや躊躇はありますが、犬宿めぐりの魅力は、ゴージャス感、ご褒美感、インスタ映え…ではありません。

わたしが日頃は究極に慎ましやかな生活を送り、ただお仕事に勤しみ、ひたすらぶどうとの犬宿での滞在を心待ちにしている理由は…。

初めて海をみた日
初めて海をみた日

いろはの「い」

高付加価値犬宿の最重要ポイントでありリピート率が確実にあがるのは、「清潔さ・快適さ・安全性」です。陽当りと眺めのいい広いお部屋や専用露天風呂や趣向を凝らしたお食事はその次です。

まず第一に、他の犬や人間の生死に関わるような迷惑をかけないため、お宿側が宿泊者に対して狂犬病予防接種/各種感染症予防ワクチン接種の証明書等を事前に提示・申告させていることが信頼できる犬宿の条件です(わたしの場合)。

愛犬家の皆さんの愛犬達はよくしつけられ、身なりも整えられていますが、やはり動物たちと寝食をともにする宿泊施設なので、一定レベル以上品質を保つメンテナンスに費やされるコストや労力は人間用の宿泊施設の比ではなく、それに見合った料金体系になっているかなと思います。

これまでぶとうと一緒に滞在した約25ヶ所の犬宿で判断しても、人間の宿泊施設よりもずっと意識高くメンテナンスされていると感じます。これらのお宿では、基本的なお世話アイテムや別途オーダーの犬用手作りごはんがすでに数種用意されているので、どうぞ手ぶらできてください、というのが基本形です。

犬宿に用意されているアイテムの例:

クレート(ハウス)、食器、ウェットティッシュ、消臭除菌防虫スプレー、粘着ローラー、足拭きフォーム、足拭きタオル、愛犬用バスタオル、トイレ、トイレシート、散歩用エチケット袋、散歩用バッグ、飛出し防止ゲート、空気清浄機

ただし、愛犬がいつも食べているフードしか食べない場合や、いつも使っているタオルや食器がないと普段できることができないという場合は必ず持参します。ぶどうも幼少期にはどこに行くにもトイレを持参してました。

なお一般的に、人間用宿泊施設の一部を「犬の宿泊OK」に作り変えたお宿に泊まるケースもみられますが、犬を自由にできるスペースが制限されていることが多いのでわたしの「犬宿」リストには含めていません(あくまでも、わたしの場合)。

緊張 x リラックス = 成長

チェックイン日に到着すると、よほど観光したい場所がない限りは快適なお宿でのんびりします。その日の夕食時間までは他の犬家族との交流が可能で、夕食は時間制です。お部屋出しのお宿もありますが、だいたいレストランに犬家族が集まってきます。このカテゴリーの犬宿では「いつも愛犬と一緒」がポリシーなので、犬だけお部屋でお留守番しててくださいということはありません。それ最高なんですが、そこで「うちのこちゃんとしていられるかな」と不安になります。犬にとってなにもかもが非日常ですから。

そんな時に頼れるのがお宿スタッフのみなさんです。

例えば、いま尋常じゃない勢いで施設拡大を進めている「レジーナリゾート」独特の、犬に対する理念を紹介します。

当ホテルでは、「わんちゃんの教育」というのは、あまり意識しておらず、愛犬との初めての旅行でも、飼い主様と愛犬がともにリラックスできる空間を提供したいと考えています。

たとえば、初めて愛犬と旅行にでかけられお客様は、ホテルを利用する際に、さまざまな心配事を抱えておられることでしょう。

ホテルの備品を汚してしまうのでは…、壊してしまったらどうしよう…

他のお客様に迷惑をかけてしまったらどうしよう…

レストランで吠えはじめたらどうしよう…   など

このような心配事で飼い主様がピリピリされていたら、そのピリピリはワンちゃんにも伝わり、お互いにリラックスすることはできないと考えます。

そこで、動物の知識があり、ドッグフレンドリーで、一見問題行動と思えることにも寛容に対処できるスタッフを数多く配置し、当ホテルでの滞在が飼い主様にとっても、愛犬にとっても心からリラックスできるものにしたいと考えています。

そして、日ごろはお留守番をすることが多い愛犬と飼い主様が当ホテルでの滞在を通じてもっともっと仲良くなっていただけたらと願っています。

レジーナリゾートに泊まるといつも感じている「多様性に対する寛容さ」の理由に納得です。スタッフだけでなく他の家族をみても誰も愛犬を叱ったりしていません。もちろん失敗したり少し興奮したりする犬もいますがそれを大きな声で咎めたりすることなく、きっちり注意をして直せたらすぐに褒め、いい時間を愛犬と一緒に過ごそうという雰囲気に満ちあふれています。文句を言ったり眉を潜めたり、愚痴を口にしたりする家族がこのレストランには一切いないことが、わたしがこの施設をリピートする理由の一つです。

「レジーナリゾート富士 Suites&Spa」のダイニング
「レジーナリゾート富士 Suites&Spa」のダイニング

日頃は普通に満員電車で通勤し、終始しかめっ面でパソコンを見つめて時間に追われて仕事していたりするのじゃないかと思われる飼い主さんたち(わたしがそれ)も、なごやかにお互いを親密に許容しあえる空気に包まれています。

犬はそういう飼い主たちの気持ちの動きを敏感に感じ取り、リアクションします。お隣の犬を見て興味を示してアピールしたり、空気を読んでスルーしたりと絶妙な距離感を保っているようにも見えます。基本ぐうたらなわたしは本当は夕食お部屋出しのお宿が好みなのですが、いつもと違うぶどうの様子を見られるレストランでの食事もとても楽しみにしています。

プロが見守ってくれるから「休養」

犬が成長する過程で、社会化期(4週齢~13週齢くらい)という時期の体験によって性格が決まり、その時期に体得した分別によって生きやすくも生きにくくもなります。様々な事情で早い時期に親から引き離されたりしている仔犬は特に、他の犬や飼い主以外の人間、動物とのふれあうことによってこの社会化期をフォローアップすることができます。

ぶどうは社会化期の2ヶ月後の5ヶ月の時に初めて伊豆へ旅をしましたが、その時のことをよく覚えています。そのお宿のひとつが「四季の蔵」でした、

広がる青空、広いドッグランを自由に走りまわれて、優しくてフレンドリーなホテルスタッフさんがいつまでも自分と遊んでくれる。嬉しい!楽しい!という感情が爆発して瞳がずっと開きっぱなしでした(この時うっかり森のドッグランではしゃぎすぎて、ぶどうの瞳に傷がついてしまい、翌朝速攻帰京して動物病院に直行しました)。わたしの言うことは一切耳に入らず、コマンドも利かず、ハイパーなまま自分が疲れていることもわからずいつまでもバタバタと他の家族に甘えていました。

他の犬ともなかなか触れ合う機会も少なく、ドッグランでも袖触れ合うだけでスルーだったので、宿で一緒になった犬たちと挨拶さえできず、ムダに怖がってバタバタ逃げたりしていました。

社会化中(この頃に訪れたお宿のコミュニケーションスペースで)
社会化中(この頃に訪れたお宿のコミュニケーションスペースで)
温泉中
温泉中

どの犬宿でも、スタッフのみなさんは単なる宿泊施設のスタッフではなく、家族のように犬に接してくれます。というのも、全スタッフのうちの約85%が「愛玩動物飼養管理士」をはじめ、「トリマー」「動物看護士」「ドッグトレーナー」などの資格を有するお宿「修善寺 絆」をはじめ、このような非日常環境下において犬たちがどのようなアクションをしても、適切にかつホスピタリティをもって対応できるように日々努力しているスタッフが配されているのが犬宿の醍醐味なのです。たとえ知識が豊富ではない飼い主(かつてのわたし)であっても、宿のスタッフさんを見れば犬がいい子になる理由が一目瞭然だったのでした。

高級日本旅館リノベの犬宿「修善寺 絆」:室内ドッグランは元は旅館の大宴会場
高級日本旅館リノベの犬宿「修善寺 絆」:室内ドッグランは元は旅館の大宴会場

前述の「ウブドの森」では、動物看護師の実務経験を基に、統一動物看護師、愛玩動物飼養管理士1級、ビルバック認定デンタルケアアドバイザー、わんごはんマイスター等の認定を受け、現在JAHA家庭犬しつけインストラクターのライセンス取得中のスタッフさんがいらっしゃいました。

また「レジーナリゾート」では、毎年採用する20~30名の新卒スタッフさんのうち9割以上が動物系の専門学校、大学短大の動物系学部出身者だそうで、接客スタッフ中の「愛玩動物飼養管理士」資格保有率は平均して約25%、特に箱根にある「レジーナリゾート箱根雲外荘」の接客スタッフ中だと保有率100%なのだそうです。

他の犬宿でも、資格取得を特に会社として推奨せずとも、必然的に資格保有者が年々増加する状況にあるようです。

多くのスタッフさんが自ら犬や猫を飼っている方が圧倒的に多く、動物好きが高じてこうした犬宿を夢の職場として働いています。

皆さんの中で犬と暮らしている方がいたら、ぜひいろんなお宿に行ってみてスタッフの方々に話しかけてみてください。誰ひとりとして嫌な顔をする人はいなくて笑顔の思い出がますます増えると思います。

那須岳に登りました
那須岳に登りました

旅と日常との間

ずっと一緒に暮らしていく犬は生涯のパートナーなので、きちんとしつけやトレーニングを行い、お互いに信頼しあえず安心できる関係であれば、日頃の食事や趣味、また旅の時も、犬と一緒に楽しむことができ、日々の生活に「制限」がつきまとうことは軽減されます。もし生活の中で制限が生まれ、それが蓄積すると、飼い主の精神的・物理的負担につながり、やがて虐待や遺棄、保健所への持ち込みに繋がるケースがあると思っています。一緒に生活をはじめる前にこのような制限がでるかもしれないことを想像し、その制限に対して対処できることを確認してから迎えて欲しいと思います。そしていったん迎えたなら、犬自身のマイクロチップや飼い主情報の装着は当然、犬が迷子にならないように万全を期して日々過ごさなければならないと思います。

わたしはぶどうを迎える以前は、殺処分の現状や背景、ペットビジネスの仕組みに関して無頓着でした。実際ぶどうはペットショップで買ったのです。今そのことを考えるといつも、「無関心・無知」は深い罪だと実感し、胸が塞がります。今はペットショップに近づくことはできません。

以下は、前述「ウブドの森」のスタッフさんの言葉です。

「愛玩動物飼養管理士」などの資格の有無よりも、『全スタッフが正しい愛玩動物の知識と接し方を身につけること』に重点を置いて資格保持スタッフによる研修の機会を設けており、現役獣医師がアドバイザーとして、施設、アメニティ、犬食の監修も行っています。

全スタッフが、宿泊されるわんちゃんたちとの触れ合いを通して様子をしっかり観察し、飼い主様からのご相談があれば微力ながら知識のおすそ分けに努めています。

単なる宿泊施設で在るのではなく、お帰りくださる飼い主様とわんちゃんがより長く、幸せに過ごしていただけるお手伝いができれば幸いです。

この、飼い主と犬が「長く幸せに過ごせるように」というのはとても大事だと思っています。あまりムリのない、持続性のある関係を続けられることで「犬生の途中で犬と別れない」ことを徹底することは、1年間に殺処分されている10万頭(猫と合わせると56万頭)もの命の数をできるだけ早くゼロに近づけることに繋がると思います。わたしにできることはこんな小さなことですが、ひとりでも実践し続けようと思います。

ぶどうの笑顔を眺めて過ごす、ムリのないChillな犬旅は、明日への活力になるのは当然で、自然に自分が満面の笑みのままで帰ってきていることに気づきます。

帰宅して、ぶどうが相変わらず家にあるおもちゃで楽しげに遊び始めるのを見ると、ぶどうにとっては大好きな家族といつも一緒にいてみんなで近所をお散歩する日常がいつも幸せなんだなと、痛感します。

人間だけ?欲深いのは‥(≖ ‿ ≖)

快晴の大室山から富士山をみる
快晴の大室山から富士山をみる

伊豆マウンテンドッグラン 犬がかならず笑顔のまま走り回り、家族全員がストレスゼロになる場所です。おじさんによろしく。

マウンテンドッグラン頂上から(奥は相模湾)
マウンテンドッグラン頂上から(奥は相模湾)
真冬でもあったか。マウンテンドッグランで走る
真冬でもあったか。マウンテンドッグランで走る

【年の瀬にぜひ】
犬の十戒 命ある犬の気持ち。
「犬を飼うってステキです-か?」今特にクリリスマス前なので。
ある犬のおはなし~殺処分ゼロを願って~

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