はじめに
BPCとは、中国の電波時計用に作られた時報局です。大きな特徴として、日本のJJYは1分に1フレームの情報を送りますがBPCは20秒で1フレームとなっているため日本の電波時計より3倍早く時刻合わせができることになります。
送信所は河南省商丘市近郊にあり、周波数68.5kHz、出力90kWで送信されています。
日本でも受信可能?
安定した受信は難しいですが、いろいろな条件がそろったときに可能です。
接続系統図

受信機としてはオシロスコープを使用しましたが、今回12bitの分解能があるものを採用しています。8bitのオシロスコープの場合、追加のアンプが必要です。
長波受信で押さえるポイント
波長がとんでもなく長いので、アンテナは長いほど良いことになります。AliExpressにて5.6mのロッドアンテナが2000円程度で販売されているのでこれを購入して使用しました。
屋内への配線は50Ω同軸で行うのでアンテナ直近にインピーダンス変換が必要になります。これには2つの方法があります。
- マッチング回路を構成する
コイルとコンデンサを入れて調整する方法です。単一の周波数のみ受信したいときに適している方法です。調整にはVNAなどの測定器が必要になります。 - ハイインピーダンス・アンプを使用する
アンテナに誘起された解放電圧を拾う方法です。広い周波数帯域を受信したいときに適している方法です。アンプの電源を同軸ケーブルに重畳するためバイアスTが必要です。
デコードの方法
BPCは1秒のパルスに2ビットの情報を載せています。電波時計は、パルス幅からMS/LSビットを判定してデコードします。
日本のJJYと違って負論理、つまり出力小の時をカウントします。


実際に受信
まず、電波が届いているかスペアナで確認します。
十分な信号強度があります。
次にオシロスコープにいったん記録し、それを吸い出して信号処理によってダイレクトコンバージョンした際の振幅と、デコード結果です。
日本のJJYと同時受信
アンテナにはJJYの信号も入ってくるので2つの周波数に対してダイレクトコンバージョンを行えば2波同時に受信可能です。
デコードも同時に行いました。100秒間の受信で、JJYは1フレームしか取れませんがBPCは4フレーム受信できています。
BPCとJJYで1時間ずれているのは、時差によるものです。
おわりに
遠く離れた地から飛んでくる電波をとらえるのは楽しく奥深いものです。
Cerevoでは、電波を扱う製品も多く開発しておりますので受託開発等お気軽にご相談ください。
参考文献
著者プロフィール

- Cerevo 電気エンジニア
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