はじめに
こんにちは。生産管理の芹澤です。
何か製品を作る時、いわゆるメカ部分では内部構造を固定する構造物、動かすための機構、筐体(ケースなど)が必要です。
それらの外側を何で作るかですが、大きく分けると「鉄・樹脂などの塊を削る」「板を変形させる」「型に入れて成型する」ことになります。例えばCerevo製品でも様々な種類の外側があります。
Cerevo製品の場合
どの素材・工法を選択するかは要求仕様や生産数により異なります。
また加工方法も多岐に渡るため、それについて書いてあげていったら膨大な量になりますが、そうしたなかでも今回は比較的目立つ部分に使われにくく裏方的に使われがちで健気に頑張っている「板を変形させる」板金機械を使った加工について紹介します。
目次
板金加工はどこで使われているのか
板金機械には、鍛圧機械に含まれ板金機械以外ではプレス機械、鍛造・転造機があります。
板金加工は、自動販売機、券売機、マンションの郵便受け、大型冷蔵庫、冷蔵ショーケースなどの箱形状の筐体はかなり使われてます。
ただし屋内かつ常温で使用され、生産数の多い(種類が少ない)プロダクトでは上記のようなものでも樹脂製も増えてきてます。
気を付けて見ていると身の周りでかなり使われていることが分かりますので、これから気にしてみて頂けたら面白いのではと思います。
板金加工のメリット・デメリット
メリット
- 汎用金型を使用するため金型費が掛からない(形状によっては特殊な金型が必要)
- 少量多品種対応しやすい
- 樹脂成型品に比べて耐候性があり経年劣化が少なく強度も高い
- 大きな中空構造のものは特に適している
数個でも、そこそこの値段でできるため「あっ、これ作ってみたい」とか「まず現物でイメージ確認したい」というときにはうってつけです。
デメリット
- 奥行の深い形状ができないなど加工形状の制限がある
- 曲げ精度にばらつきが出やすい(ある程度はコントロールする方法あり)
- 同一面にない穴のピッチ、製品の長さの精度を出しにくい
- 大量生産は困難(ロボットなどの自動化でかなり対応可能)
板金加工の流れ
板金加工のおおよその流れについてみていきましょう。
工程は、切断(穴開け含む)→曲げが通常の流れとなりますが曲げが無い部品もあります。
板金の切断(穴開け)
板金の切断・穴開けはパンチング機かレーザー加工機を使います。
板金の曲げ方
曲げの機械はこちらです。ベンディング機(ベンダー)又はプレスブレーキと呼びます。
機械の上下テーブルにそれぞれ金型を取り付けます。
金型はパンチとダイがあり板金をダイの上に置きます。
パンチとダイで板金を挟んで、下図のように曲げます。
特殊な曲げ方
曲げが深い場合、金型に当たるため曲げられません。
下図のように断面が正方形より深くなると通常の金型では曲げられないのがお分かりでしょうか。
このような場合、下の写真のような少し特殊な金型で対応します。
他にも様々な用途の金型があるのですが、各社保有している金型には限りがあるため、特徴の異なる工場を捜しておくと良いでしょう。
複雑な形状、深さのある形状の場合は事前に工場と相談してから設計を行うと手戻りがなくて良いです。
ベンディング機以上プレス機未満
半球体、お山のような形状だとベンディング機では曲げられません。
生産数が多ければプレス加工機が使えますが、小~中量生産の場合は価格が高くなり金型の保管費なども発生し現実的ではありません。
その場合、形状の条件はありますがダイレスフォーミング機が使えます。
金型が全くない訳ではなく、金型の下半分があるイメージですがプレスのような精密な型でなくても成型可能です。
下型に密着させなくても成型できるため、形状によっては金型費がかなり抑えられます。
フォーミング加工の事例
板金加工は、1枚の板から立体物が造られるところが面白いですね。
特に成型ではなく切って曲げてでどこまでのものが造れるのかと言うところが難しくもあり、面白みのあるところだと思います。
街の中や身の回りにも様々なところで使われていますが、その中でもすごいと思って見入ってしまうのが巨大建築物で、特に鏡面の円柱です。
例えば成田空港のチェックインカウンターのフロアにある円柱、ご覧になったことがあるでしょうか。とても見応えがあります。
鏡面なので小さな擦り傷も付けられないし材料自体が高いので、加工は一発勝負です。加工時の職人さんのこと考えるとドキドキしますね。
今回ご紹介した加工機械および製品は、東京都大田区の協和工業株式会社にお邪魔したときの写真です。
若い社員が多く、技術力が高く活気に満ちた会社です。
https://www.bankin.co.jp/
以上、お読み頂いた方たちのものづくりの参考になれば幸いです。
またCerevoでは、こうした筐体開発のご相談もお受けしておりますので、以下のお問い合わせ窓口から、お気軽にご連絡ください。
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- 生産管理、調達
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