こんにちは、回路設計をしている押切です。
本格的なスタートアップの話は他のメンバに任せて、自分からは10個からオリジナル製品を作る方法の1つを、10stepsで解説します。
今回は、腕時計の文字盤部分に好きなデザインをいれてオリジナル製品を作った流れを例にみていきましょう。
Step1:対応してくれるsupplierを探す
Alibabaで製品のカスタム対応をしているところを探します。
めぼしいところ、作りたいとおもう製品を取り扱っているところから、カスタムしてくれそうなところに質問を投げていきます。
ログインした状態で回覧すると履歴にのこるため、履歴に残っているところや、過去に買い物したところからアプローチがくることもあります。
相手をあるていど絞ったら、E-mailでなく、Trade manager、Skype、Wechatなどチャットでやりとりできるように連絡先を交換しましょう。
窓口とのやりとりは英語になりますが、相手も堪能でない場合も多いので、恐れず意味が通じるまで何度でもチャットして交渉しましょう。
今回は、中国のShenzhen Oneil Watch Co., Ltdと話がうまくまとまり実際にカスタム製品をつくることになりました。
Step2:条件の交渉
めぼしいSupplierをみつけたら納得いくまでチャットなどで最低限、下記情報を聞き出して、カスタマイズ要件を決めます。
矢印の先は今回聞いて決めた内容です。
- カスマイズで何ができるか?
- =>文字番の上の木製のデザインと裏面のレーザー刻印をカスタマイズ可能(後に箱の上面も刻印可能と理解)
- MOQ(最低量産数)
- =>10個から
- 費用
- =>20USD/個(カスマイズ込み)
- 納期
- =>発送までは、支払い後、1−3日後
- 支払い方法
- =>PayPal(クレジットカードも可)
- 配送方法
- =>EMS(Fedex/DHLの方が早いが、コストからEMSを選択)
- 個別の箱(Gift box)はつくか
- =>追加費用なしで同梱
Step3:デザイン作成
私の小4の長女に猫のデザインをしてもらい、それを元に娘と相談しながら、Inkscapeでデジタル化しました。
裏面は”Design by Oshikiri”を入れようとしましたが、後述のチェックで採用はやめました。
Step4:PIを貰って発注
できたデザイン画像を送って、そのデザインで生産可能という返事がきたら、見積もり(PI/Proforma Invoice)を貰います。
後のトラブルを避けるため、付帯条件としてオリジナルデザインであること、Gift box込みであることなどこちらのリクエストしている内容を記載してもらいます。
また、作成前に必ず試作画像を送ってもらい、出来上がりイメージを確認してから量産するよう依頼します。そうしないと、こちらの許可を待たずにどんどん作られる場合があります。
今回の制作費用は、
製品代:200USD(10個)
送料:31USD(EMS)
PayPal手数料:10.4USD
合計:241.4USD
になりました。
Step5:支払い
Supplierによりますが、今回はPayPalで支払うためAlibabaのシステムは使わず、相手のPayPalアカウントを聞いてPIの価格を支払います。支払いが完了すると相手にも通知が行くので確認してもらいましょう。
Step6:画像データ調整と確認
今回特にデザインデータの形式は特に問われませんでした。発注先にもよるとおもいますので、その部分も必要であれば確認しましょう。
先にお金を支払っているのでスムーズに制作が進みます。縁に接続するための接続ポイントが増えることなどが送られてきました。
裏面のレーザー刻印は、あまり細かい線は再現できず、丸穴が大きくなったり、裏蓋全面の大きさでないと刻印できないとのことで、なしとしました。
こちらがOK出さなくても制作はどんどん進みます。このスピード感は楽しいですが、問題あればすぐに連絡しましょう。
Step7:Invoiceの確認
10個完成したので発送するという連絡が来ました。
輸入なので、Supplierに払った費用以外に関税が掛かる場合があります。
これは受け取り時に運送業者に支払うことになるので、事前に知らないと慌てることになるので注意です。
Invoiceには、SampleかGiftと記載してもらいましょう。
関税の計算は、個人輸入に対しては、支払った総額に60%をかけた金額が課税対象額になります。
ただし、対象額が1万円以下は無税です。つまり、10,000円/0.6=16666円以上から発生します。
241.2USD、1USD=113円で計算すると、241.2*113*0.6=16353円に対して関税が発生します。関税率は輸入品によって異なります。3%とすると490円です。これにさらに消費税と税関手数料が若干掛かるようです。
また、発送してもらったら、必ずTracking numberを聞いておきましょう。国を超えての配送はトラブルが多いため、きちんと配送状況を確認できるようにしておくのがいいでしょう。
EMSでも追跡可能です。今回は発送から6日ほどで届きました。
Step8:商品確認
届いたら、全数中身の確認をします。
高級感はさほどないですが素朴な作りです。裏蓋もプラスドライバーで簡単に開けられ、電池交換も容易です。
しかし、残念ながら、1個秒針が外れていました。
また、箱の上面にボツにしたロゴがサービスでレーザー刻印されていました。
この件は、クレーム入れるほどではないと判断して上からシールを貼ってリワークしました。
Step9:不具合の交渉
無事届いた旨を伝えた後、秒針が外れいたことに関しては、写真付きでわかりやすくクレームを入れます。
新品を要求したところ、日本の時計屋で修理したら、その分返金するとのこと。
しかし国内で何店か修理できないか聞いてみましたが、有名メーカー製以外は受けてくれてなかったり、3,000円から納期3週間と言われました。
再度Supplierと交渉の結果、修理方法を動画付きで教えてもらえることになりました。竜頭さえ引き抜ければ簡単に分解できる構造とのことで、自分でも直せそうでした。
Step10:使用と販売
実際に腕時計をつけてみた感じは、寝ぼけてなければ予測もつくので思ったより時刻も見やすいです。
娘も喜んでくれました。彼女も小4にして立派なMAKERSです。
自分と娘の分以外の7〜8個は試しに近日中に販売してみる予定です。うまく売れたら、また追記したいと思います。
ちなみに掛かった実質の日数は、
Step1:1日
Step2:1日
Step3:1日
Step:4/5:1日
Step6/7:2日
さらに2日後発送、6日後到着
なので最短で2週間ほどで可能です。
大事なのは納得するまで交渉し続けることです。
ぜひ皆さんもトライしてみてください。
販売するのが目的だけではなく、少人数で仲間内のお揃いのTシャツを作る感覚と費用で実現できると思います。
著者プロフィール
- 2015年にCerevoへジョイン。電気エンジニアを経て、現在は執行役員