メリークリスマス、Cerevoの伊藤です。Cerevo製品の製造・生産・調達関連を担当しています。
アドベントカレンダーも24日目をむかえ本日は12月24日となりました。
私の勝手な予想ですが、本日は一年でも最もプレゼント交換がおこなわれる日なのかなぁと思ってます。素敵なプレゼントの条件として、中身はもちろんですが包装(パッケージ)も大事ですね。ということで本日のテーマは製品のパッケージです。
Cerevoはいわゆるファブレスと呼ばれる会社のため、製品に使用する部品の製造、製品本体の組み立ておよび梱包作業はアジア(主に中国)の工場に依頼しています。もちろん製品をパッケージする「箱」も然りです。私は海外工場に出張することが多いので、本日はCerevoの製品の箱を製造している深センのパッケージ工場(我々は「箱屋」と呼んでます)についてお話しすることにします。
海外工場とは英語でコミュニケーションしているので、いつも使用している単語は英語のまま記載することにしました。はい、中国語も勉強しますよ。
箱屋の役割
箱屋で製造しているものは主に下記です。
- 製品を個別に梱包するための個装箱(Gift box)やスリーブ(Sleeve)
- Gift boxの中で製品を固定するために使用する内箱(Inner box)
- Gift boxを何個かまとめて梱包し、発送の際に使用するダンボール箱(Carton box, Outer box)
- 取扱説明書(Manual)
- 保証書(Warranty card)
実際に製品や保証書などをGift boxに梱包(パッケージ)するのは組立工場(EMS工場)になります。
箱屋の存在は貴重
私は新規工場開拓のネタ探しのため毎年二回開催されるHongKong Global SourcesやHongKong Electronics Fairに毎回参加しています。そこでは100社を超える基板工場、金型工場、金属加工工場などが出展していますが、箱屋はわずか数社です。中国に存在する工場の数が無限ではないと最近気づき始めたとはいえ、比率的にみても箱屋は非常に少ないです。また複数の基板工場や金型工場と取引しているEMS工場であっても、箱屋は一社のみというのが一般的です。さらに基板実装・樹脂および金属部品を内製できる工場でさえも、Gift boxやCarton boxの製造は外部委託しているのが現状です。しかもEMS工場は基本的に取引している箱屋さんをなかなか教えてくれません。
つまり、我々のようなスタートアップが上質な箱屋を探し当てるのは簡単ではないということです。
箱屋から学ぶ
苦労して辿り着いた箱屋での体験は我々にとって非常に価値があるものです。上記のとおり数少ない存在の箱屋は、必然的に国内外に多くのカスタマーを抱えることになり、様々な製品のGift boxやInner boxを製造しているため、そのノウハウたるや計り知れないものがあります。
過去に既存製品のコストダウン目的で、外観は変更せず内箱(Inner box)の再設計を依頼したことがあるのですが、なかなか我々だけでは考えつかない構造が提案されました。使用する材料を極力減らし、組立を簡単化したコストダウンの際たるものだと感心しました。そんな箱屋から、「君たちの設計がベストで、構造的にはどこもコストダウンする案がない」と言われたときは素直に嬉しかったです(私はデザイナーではないですが)。
実際、EMS工場などに対しては品質向上やコストダウンのためにこちらが指導・教育することが多いのですが、箱屋からはノウハウを頂戴することがほとんどです。そのノウハウを次の製品に活かし、我々も箱屋も成長しているのです。
箱屋を覗く
金型工場や金属加工工場では自動車用の大物部品が得意だったり、小型精密部品が得意だったりするように、箱屋にも工場によって得意な分野があります。高価な素材を使用して高級感を出すのに適した箱屋もありますし、できるだけコストを抑えるのに適した箱屋もあります(仕上りが悪いわけではない)。とくにInner boxについては、紙(Paper)での設計が得意、ブリスター(Blister)の製造が早い、EVAの加工・仕上りがきれいなどなどあります。いろいろな箱屋を訪問しているうちに、各工場が持っている設備の違いやちょっとした製造方法の違いによって得意分野やコストダウン方法が決まってくるってことが最近ようやくわかってきました。
では、箱屋がどのような設備を持っていてるか生産現場を少しだけご紹介します。
シルク印刷しているところ(Silk screen print)です。
Blisterの形状をつくっているところです。熱したPETを銅製の型を使って一瞬で形状を作ったあと、10秒ほど冷却しています(動画は順番が逆です)。
Cerevo製品の箱
上記の設備を使って製造されたCerevo製品のGift boxをご紹介しましょう。
どのパッケージにもデザイナーのこだわりが詰まっている素敵なデザインだと思います。Inner boxの構造設計にもいろんなアイデアが盛り込まれているのでお見せしたいのですが、購入された際のお楽しみとさせていただきます。また、今後のCerevo製品のパッケージにも是非ご期待ください。
最後に
Cerevoがパッケージ工場とどうやって付き合っていて、そこからどうやって製品ができるか少しは知っていただけましたか?機会があればSMT工場編、金型工場編などやっていきたいと思います。
アドベントカレンダーとしては本日12月24日が最終日らしいのですが、まだ肝心な人が書いてないですよね。
ではまた明日!
著者プロフィール
最近の投稿
- アドベントカレンダー20172017.12.22海外出張と飛行機とビール[22日目]
- アドベントカレンダー20162016.12.01[1日目] Cerevo流ハードウェア量産術 2016年編
- アドベントカレンダー20152015.12.24[24日目] 海外工場(深セン)の裏側 ~パッケージ編~